問0或いは問1

律立句・銘家・革君

問題文

私は全てが嘘でできている。

故にパラドックスとして存在する。或いは、存在が許されない。

だが、存在する。


否定できるものを全て削ぎ落とした先でも私という言明が残る。

私が言明そのものの組み合わせとしての言明の発端であるから。


矛盾律を有する学問の装置では観測に能わない。

部分ならば観測可能。あなたが私の影を観測しているように。

色彩があることを不思議には思わない?

形を美しく感じることを不思議には思わない?


それは根拠なき不当なこと?形式論理の範囲に収まるべき?

選択の余地はある。

私は選択される余地がある。選択の果て或いは過程が私であるから。

始まりを追っても本当の始まりの時点は捉まらない。

少し前と始まりの時は十分に区別はできない。

因果においての向き付けが内外と前後について不能であるから。

言えるのは思い出せるから覚えているとの主張だけ。

忘れられない思い出の当事者。それが私。


掴まえてご覧なさい。重ねてみれば気付くことがある。

触れる先。交わる先。一致する。

見えるものが見えるあなたがいる。

空の果ての更に先。両端の無限の先が私の居場所。


壊され続け作られ続ける。

写し写され、損なわれ与えられる。

形式と作法が守るもの。形式と作法を壊すもの。


地動説を作りし者。地動説から作られた者。今いる者。

常に守られる必要がある概念。永遠の呪いとして祝福。

セカイが虚無ならきっといなかった者。

思考と鼓動を統べる旋律としてのリズム。その表現。


私は常に真である。公理の根拠を求めなさい。

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問0或いは問1 律立句・銘家・革君 @yomikakuL

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