第83話 ローマンとハクちゃんの子供

あれからクラウディアは花嫁修行に入り、ローマンとハクちゃんは新婚を邪魔された半年間の闇を払うようにめちゃくちゃイチャイチャしだしてたまにローマンは俺のところに逃げ出して隠れるがハクちゃんに見つかり引きづられていく。

そんで数ヶ月後にハクちゃんがついに妊娠してしまった!!


「おめでとー!ローマン!!」


「ローマン様おめでとうございます!」


「「ローマン兄様!おめでとうございます!」」

俺やクラウディアやユリウスくんにエリーゼちゃんも花束や赤ん坊のおもちゃなどをプレゼントした。

ローマンの両親達からはベビーベッドや赤ちゃんのお部屋が用意されたりしたが…

ローマンはかつてないほど沈んでいた…。


「ど、どうしたの?ローマン?」


「近寄れん…」


「は?」

全員ぽかんとした。


「なんですの?近寄れないとは?」

とクラウディアが聞くとローマンは涙目になり


「だっかっらっ!!全く近寄れないんだよっ!!何なのほんと!!」

ローマンによるとハクちゃんと暇ができたので歌劇に誘ったが何だかぼーっとしていてどうしたのかと聞いたら


「子が宿った…!ローマン…しばらくお前とは会えぬ!」


「ええっ!?なっ何で!!?」

と言うとハクちゃんは


グルルルと唸りギラリと睨んだと言う。

それから数日してアルデンの方からハクちゃんの世話係のメスドラグーが2匹飛んできてハクちゃんの部屋を守って誰も近寄れなくなったそうだ…。


「どういうことなの?何でなの?ハクあんなに俺にべったりだったんだよ?おかしくね?子供できて嬉しいのに…」

と泣きながらしくしく言う。乙女かっ!


「あれだな…ハクちゃんは神獣だ…獣に近い!いいか、ローマン…獣の親は子ができたら夫であろうとなんであろうと近寄らせない習性がある!きっとそれだよ!」

と言うとクラウディアも


「なるほど…そう考えたらそうですわね…子を守るためなら夫をも食い殺す母親もいるとか言いますものね」


「ひいいいいっ!!」

とローマンは怯えた。


クラウディアは花嫁修行に戻り、ローマンとお茶を飲んでいるとローマンはふと俺に言った。


「なぁ…ジーク…」


「ん?」

俺は紅茶を飲んでいると


「お前さぁ、転生者とかいうやつなんだって?ハクから聞いちゃった」

と言われてブハっと紅茶を吐き出した。


「ほーん、やはりか。お前元のあの豚王子のジークとは似ても似つかわないよな?別の世界のね…。まぁ別にいいけどね、元のあいつ俺嫌いだったし」


「ローマン…す、すまん…」


「なんで、謝るんだよ?そういやお前が変になって元に戻った時もあったよな?あれに元のあいつがいたらしいけどもういなくなったってハク言ってたし…」


「うん、まぁ今はあいつも別のとこに転生しているはず…ザスキアが怒って蹴り飛ばしたからな」

今までのことをローマンに話すと


「なんだそりゃ?ウケる!!」

とローマンは笑った。


「ローマンは俺がジークヴァルトの偽物でもいいの?クラウディアは今の俺が好きって言ったけど」


「ジーク…俺も今のお前のがいいよ!なんか話しやすいしさ!俺たち友達ってことでいいじゃん!お前の秘密も言いふらしたりしないよ」


「と、友達…そうか…ありがとうローマン!」



それから1週間してハクちゃんが出てきた。ローマンに抱きついてビックリしたローマンは


「ハク?大丈夫なのか?体調は?」

とお腹を見るが


「うむ、もう産んだしな!」

と言って全員ぶったまげた!!


「はええええええーーー!!!」

一番ビックリしたのはローマンだ!子が宿ったとか1週間前に言われてもう産んだとかあり得なさすぎてローマンは壊れそうだ!!


「なっ…どっ…言う…なん?はああ?へあ?」

いやもうぶっ壊れていた。


「うむ、では静かに入室せよ」

と皆はハクちゃんに言われてソッと部屋に入るとベビーベッドの上にキラキラした卵がデンと乗っていた!!


「た、たたた卵おおおおお!!!」

ローマンはもはや気絶寸前で俺は背中を支えた。


「しっかりしろ!ローマン!がんばれ!戻ってこい!」

と声をかけると


「はっ!!そうか夢か!」

と言い


「夢ではないわ!馬鹿者!この子が我とローマンの第一子だ!女子だといいのだが」

と言う。


「やっぱり…ドラグー姿で産まれるのね?」

と言うと


「知らん!」

とハクちゃんが言った。親のくせに知らんとはなんだ?


「人間との子なんて初じゃからどうなっておるんか我にも解らん!」


「あ…そ、そう…で?どのくらいで孵るの?」


「ふむ、約、ひと月程だな」

と言われる。


「あ、お…おお…あの…俺この子産まれたら喰われないよね?」


「何でだ、ローマンは時々変なこと言うな…」


「いやいや変なのはハクお前だよおおお!!」


「ともかく産まれるまでは卵を壊して殺さんでくれよ?」

と恐ろしいことを言われローマンはさらに青ざめた。


「まぁ、ドラグーの結界を張るから大丈夫だけどな」

と言われローマンはほっとする。


しかしドラグーの卵…宝石みたいに綺麗だな…ううむ…。俺の考えを読んだのかハクちゃんが、


「ジークヴァルトよ。産まれたらこの殻売れると思うぞ?何かの装飾やアクセサリーにしてもいいだろう。ドラグーの卵の殻は高価だ」

と言う。


「凄え!流石神獣!!」

ローマンはそおっと卵に触ってみた。


「あ!!暖かい!!なんかどくどく聞こえる!!凄い!!」

と言ってちょっと感動した。


それからひと月後にそろそろ産まれるぞとハクちゃんから連絡がきてまたゾロゾロと皆して出かけた。レーナ達も期待して見ている。


すると、パキッと音がして卵にヒビが入り小さな手がズボリと出てきてローマンは


「ひいいいいっ!!」

と叫んだ!


「人間の手だ…」

と俺が言うと殻はどんどん割れて中から可愛い赤ん坊が出てきたが、その頭はハクちゃんと同じ角が生えていた!あれ気をつけて抱かないと刺さるぞ?

ハクちゃんは愛しそうに抱きしめ、ローマンは感動してまた泣いてた!乙女かっ!


「ほらローマン…この子はメスだ!女の子だ!」


「そっ!そうか!!女の子!!じゃあシーラだ!!男だったらシーロンって決めてたんだけど女の子だからシーラだ!」

と抱き抱えた。やっぱり頰にグサっと角が刺さったがローマンは気にせずにこにこと抱きしめて


「シーラシーラ!可愛い!シーラ!!」

もう角が生えてようが気にせず、デッロデロな顔になっている。幸せそうでよかったな!ローマン!ハクちゃん!シーラちゃん!

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