第82話 ジークヴァルトVSクラウディア

「クラウディア!!消滅しろ!!その魂まで!!」


 パンっと弾丸が発砲されクラウディア目掛けて向かって行く!クラウディアは髪を素早く盾にして防御して弾く!


「消滅するのは貴方の方ですわ!ジークヴァルト様!」

 と髪の毛を剣に変えるとクラウディアが斬りつけてくるところを俺は回避して避けた!


「…ダイエットと訓練の成果だわ!逃げるが勝ちだ!お前みたいなブスに消滅させられるなんて御免だ!」

 と言うとクラウディアの髪の毛が震えた。


「ブスですって?貴方目がおかしいんじゃありませんの?まぁ貴方みたいな汚い心の持ち主に何を言われても気にしませんことよ?」


「おお?言うじゃないか?ブス!怒ってる顔は般若だ!いや、解らないだろうから言っておくがダモンみたいな顔に見えるわ!」


「何ですって!?」

 とクラウディアがビュンと剣を振り回しそれを避ける俺。素早く拳銃を発砲。だがしかし防がれる。


 それを遠目に見ていたレーナとコンちゃんとハクちゃんもろもろのメンバーは


「おい、単なるバカップルの喧嘩に見えてきたんだけど」

 とレーナが半目で言うと


「我もそう思う…」

 とハクちゃんが言う。


「我…飽きたから寝てていいでしょうか?」

 とコンちゃんがあくびを始めた。


「いや、あんなんでもレシリアの術にかかってます、はい!一応世界の命運をかけた戦いです!はい!」

 とザスキアが言うと回復をさせられたミーティアが


「そうだわ、こういう時はジタバタしても始まらないわテアナ様とりあえずレシリア半殺しにしていいですかね?」

 と縛りあげられて拘束されているレシリアを睨んだ。


「ババア…若い私が羨ましいのね?あんたの夫もだから私の方に…」


 バシン!


「痛っ!何す…」


 バシン!


「だから!痛えんだよババ…」


 バシン!!


 レシリアが口答えする度にどんどん頰が膨らんでいった。


「あれは拷問だな…楽しそうだな」

 とテアナが言う。


 *


 一方で恋愛ジャンル世界では真っ暗な空に包まれ魔物達と必死に防戦している騎士団やダニエル、赤い髪の一族がいる。


「くそう!ジークヴァルト様が半年も意識をなくされるだけでまさかこんなことになるなんて思っていなかったよ!」

 と魔物を騎士団の男が斬り上げながら言う。


「うっっ!臭い!!…他の国も同じような状態が続いているせいで救援どころじゃないし!」


「この戦いどうなっちまうんだ!?」

 と二人の会話を聞いていたダニエルは呟いた。


 *


 女神界では

 はぁはぁと息も荒くなる俺。

 それにクラウディアは少しも乱れず相変わらず無駄のない動きだ。

 技術も腕も上のクラウディアに俺が適うのか?こいつ撃っても弾くし!


(……何で俺クラウディアと戦っているんだ!?)


「クラウディア!いい加減に諦めて消滅してくれないかな?」


「あら?疲れたのですか?情けないですわね?」

 とクラウディアは余裕でいる。


「は?気のせいだな。ゼェハァ…。お前は女のくせにいつも剣振り回してるから家事が下手くそなんだよ!!お前の料理食べれたもんじゃねーわ!炭だよただの!」


「お口に合わなくて申し訳ありませんわ!毒でも入れておくんでしたわ!」

 また弾は弾かれる。

 体制を崩して転がるとすかさず剣が頭の横に刺さり慌てて避ける!


(こんなこと…言いたくないのに!)


 しかしクラウディアは何本も髪の毛を矢に変えて俺の周りに打ち込みとうとう退路を塞がれ俺は寝転がったまま仰向けで倒れている。


「終わりですわね!ふふふ、ジークヴァルト様私の方が戦闘では全てにおいて上ですわ!観念なさい!」

 と近づいてくる!なんて女だ!可愛げがない!


(違う…クラウディアは可愛い!)


 クラウディアが無言で剣を振り上げ止める。俺もクラウディアに銃を向ける。

 どちらかが先に動いたら消滅だ。

 睨み合いは続き


「女らしくないし戦闘狂め!何人も殺してきたんだろ?」


「ふふふ、私が怖いのね?命乞いなんて醜いわ!」


(クラウディア…俺は…)


「じゃあな!クラウディア!!」

 俺は弾き金を引き、クラウディアも同時に髪の毛を動かす!


「さらばです!ジークヴァルト様」


 パン!


 ザクッ!


 と音が響き、レーナ達は目を見開いた。

 お互いにジークヴァルトは自分の胸に刺さっている黒いハートを撃ち、クラウディアは自分の胸に刺さる黒いハートを刺していた。


「………え?」

 レシリアはまさかと言う目で見た。


「何なのよ?私の力は女神の力なのよ?そんな…神の力に逆らうって…」

 そこでテアナは言った。


「愛が勝った!」

 と。


「あ…愛って…何をバカなっ」


 バシン!!


「あら?貴方みたいなクソビッチにはね?純粋な愛なんか判るわけないのよ!」

 ミーティアは怒りの形相で睨んだ!


「ひいっ!!」


 *


 黒いハートがビシっと割れ、粉々に砕けた…。

 俺はようやく我にかえる。


「ディア…俺がお前を消滅なんてできるわけなかったよ」


「ジーク…私もです!自分を止めれて良かった!」

 とクラウディアと俺はしっかり抱き合うと耳元で俺は囁く。


「…俺のディア…大好きだよ…」


「ジーク…嬉しいですわ…」

 それからゆっくり口付けて眩い光に包まれていき、今度こそ浄化が広がり、恋愛ジャンル世界にも空から眩い光りが注ぎ、世界は真っ白にキラキラと輝き、魔物やダモン達が浄化され消えていった…。


 世界は奇跡を再び取り戻し人々は喜び抱き合った!


「やれやれ…どうやら終わったな…さてそろそろレシリアを連れて行け!」

 とテアナが言い、レシリアは執行部と共に去った。顔がパンパンであった。


 ミーティアはざまぁという顔をしていた。

 そしてザスキアも光り元の大人の姿に戻った。

 またグレーのスーツを着ている。


「一時はどうなることかと思いましたよ、はい!……掃除が必要ですね、はい」


「ザスキア!!」


「ザスキア様!!」

 と俺とクラウディアに皆も駆け寄った!


「お前たちほんまに…よくやったわ!大好きやで!お前ら!!卒業しても、先生のこと忘れんといてや??」

 と涙と鼻水を垂らした。


「いや、どこの熱血教師物語の最終回だよ!!」

 と俺が突っ込んだらまた視界は白くなる。


「ジークヴァルト!またな!」


「ああ!また!!」

 と俺は…ベッドの上で目覚めた。


 倒れていた皆も起きてきた。


「ハク!!おお、起きた!!おは…んっ!!んんんんーー!!」

 と起き抜けにハクちゃんとローマンは人の部屋で熱烈キスしとるし、コンちゃんはレーナの尻を追いかけ回してテオドールくんに止められているし、


「ローゼ!!戻ってきたんだね?」

 とこっちの初々しい子達は互いに手を握り合い頰を染めて見つめ合ってユリウスくんは言った。


「ローゼ…僕と婚約してくれるかい?君が天使でもかまわないよ!というかもう僕には君が天使にしか最初から思えなかったし!」

 と人の部屋で告白しているし。


 そこで俺に抱きついてクラウディアが涙を流した。あ、ダメだよクラウディア!皆いるし!

 皆見てないけど!

 あ、柔らかい!いい匂い!

 本物の本当のクラウディアだ。


「おかえりなさい!ジーク!!」


「………た、ただいま…ディア!!」

 俺たちは額をつけて笑い合った。


「あっ!!み、見てあれ!!」

 レーナが気付いて窓の外を指差して驚いている!!

 俺たちはゾロゾロと窓の外を見るとなんと、天空にクッキリとハートの七色の虹がかかっていた!!


「うわぁ…ハートって何それ?」


「すげぇ…見たことねーわ…」


「き、奇跡だ!!」


「兄上の力でしょうか?」


「いや知らん!!」

 あんなもん作れるか!ザスキアの仕業だろうか?

 皆空を仰ぎ【愛の虹】とか言う伝説がまた生まれてハートの虹を見たものは絶対に結ばれる!とかいうジンクスができてしまった!!

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