何故か超絶美少女に嫌われる日常
やまたけ
第1話
何故か俺は目の敵にされている……。
「ちょっと! 目の前歩かれると邪魔なんだけど?」
「……」怒鳴られても、俺は言い返さず彼女の邪魔にならないよう、黙って道を譲る。彼女は通り抜けていく様ギロリと俺を一睨み。
「ハハ。相変わらず嫌われてんなあ」同じクラスの友人、雄介が肩に手を当て呆れ口調で声かけてくる。
「おう。今日も絶好調だな」俺は雄介に返事しながらヨッと手をあげ軽く挨拶。
「しっかし、あれだけの美人にお前何したんだよ?」
「前も言ったろ? 心当たりがさっぱりねーんだよ。そもそも、会話した事すらねーのに」
ほんとかよ、と雄介は疑り深い眼で俺の顔をジーっと見る。何だ? お前人の心読めんのかよ? じゃあ読んでくれよ。嘘偽り一切ねーぞ?
「ま。確かに柊美久と接点なんて、お前にありそうもないわな」
「身も蓋もないなお前……。まあそういう事だ。それがある意味証明だな」
こうして今日も、学校一、いや、俺の住むここK市内一とまで噂される超絶美少女、柊美久は、俺に悪態をついた後、他の女友達と楽しそうに絡み合いながら、校舎に入っていった。
そう。この超絶美少女に、俺は随分前から嫌われている。理由? ホント分かんねぇ。
※※※
「次の現国の宿題がさぁ、漢字が多くて終わってねーの。悠斗すまんけど貸してくれ」
「いや雄介お前……。漢字の宿題を見て何を参考にするんだよ?」
「読み仮名調べるのめんどくせぇ」
あー、と俺は納得しながら、雄介に仕方なしに漢字の宿題ノートを貸してやった。その代わりマック奢れよ、と付け足しながら。俺は基本宿題を忘れた事が殆どない。これは立派な自慢に……、ならない? あっそ。ともかく俺自身、真面目だと評判だってのは知ってる。
俺達はそこそこ進学校として有名な公立高校に通う現在高校三年生。身長は先日の身体測定で175cmだったから、日本人男子高校生としては高い方? 髪染めたりもしないから真っ黒な髪で、鍛えてるから所謂細マッチョ体質。
そして雄介は同じ空手部に所属する親友だ。高校入学時に知り合ったんだけど、お互いなんだかウマが合った。偶然クラスも三年ずっと一緒ってのも大きいんだろうな。K市含む県大会が夏頃開催予定で、俺達はその大会に出場して部活は一旦おしまい。それからは嫌々ながらも、大学入試へ向けて勉強する事になってる。
……うん嫌だ。別に大学行かなくてもよくね? だってあの松下幸之助や田中角栄は中卒。今度宇宙へ行くとかいうアパレルの社長や、カレーを全国チェーン展開しているあの社長は高卒だし。ここだっていい高校なんだから、卒業してから働いてもいいじゃないかと個人的には思ってんだよなあ。
って、親に言ったら物凄い剣幕で怒られた。「大学行く金用意できる家で生まれ育ったんだから、お前にはチャレンジする義務がある」とか何とか言われて。両親には感謝してるし、まあそういうもんかな? と思ったから、自分の気持ちは押し込め、大学入試は受ける事にした。
やるからには真面目に。それが俺のモットーだ。だから高校入ってから真面目に課題も提出し、今まで無遅刻無欠席。その甲斐あってか、成績も学年でいつもトップ10には入ってる。
だからああやって雄介は俺を頼る。まあ俺も、雄介には色々世話になってるから余り気にしちゃいない。お互い様ってやつだ。
因みに俺達の高校は普通科と特進科を、進級の際選べるようになってる。普通科はその名の通りで、特進科は大学受験を目標に置いた、普通科より勉強をガツガツやるクラスの事。
で、俺は普通科。そう。特進科にいないのに常に成績がトップ10入りしてる。で、あの超絶美少女柊美久さんは特進科。俺達とクラスが違う。彼女は見た目だけでなく学力も優秀で運動神経もすこぶる良い。どこかのラノベのヒロイン。正にそんな感じ。あれなら将来、アイドルか女優になるだろうなあ。と、普通ならあり得ない想像も、柊さんならそれが現実的だと思える程隙がない。それくらいのスーパーウーマンだ。
え? 嫌われる理由あったじゃん、って? いやいや。彼女ずっと成績は学年トップを誰にも譲った事がない。だから当然俺もトップになった事はない。だから妬みとかそういう理由じゃない……はずなんだよなあ。
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