生活保護の座標
道幸綾真
2019年11月21日
2019年11月21日、仕事を休んだ。
はじめて駅の救護室というところ(実際には「室」ではなくて廊下の隅っこだった)のお世話になり、隣接する喫煙室から漂う匂いに頭を痛めながらも、滂沱をなんとか宥めた。
2019年11月21日という日、仕事を休んだことはどうでもよくて――なんせそんなことはしょっちゅうだったので――ただわたしは、これまで自分が立っていると思っていた分岐点が、一本の道に収束してしまったような気配を感じていた。
分岐点からはふたつの眺めがあると思っていた。
ひとつはこのまま務めつづけ、並行してなんとか就活を終わらせて次の仕事に行く道。
もうひとつは仕事を続けることをやめ、一度休む道――そしてその道に不可欠なものとして、生活保護というものがともにある道。
わたしが救護室で収束を感じたのは無論、後者の道のほうだ。
先のことはわからないけれど、わたしには記録が必要だと感じた。この先なにがどうなっていくのか。それを記すことに、希望や生きる理由を見いだそうと直感が告げた。わたしのこころの冷めた部分は、わたしには特に生きる理由なんてないと説く。それを退けるために必要だと思った、それがこの文章だ。
わたしにはまだ明日のこともわからない。
まず明日、仕事に行けるのか。ただしこれは最悪行けなくてもいい。もっと重要なのは、無事に通院できるのか。主治医にきちんと事を報告し相談できるか。この先の見えなさについて暫定的にでも答えを掴まえない限り、明日は帰宅するわけにいかない。
道の先にはわたしを生かすのか殺すのかわからない制度が転がっている、気がしている。今は「先」にあるもの。この座標、というか位置関係が今度どうなるのか、決してわからない。
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