転・このおとぼけ顔で私を!?

「動くな。貴様は詐欺の容疑で国際手配されている。百個以上に上る詐欺の数々、到底許されるものでは無い!」


 次の日いつもの如く電子錠と監視カメラを未鑑定状態に変えて博物館の資料室に到着した俺は、何故かたくさんの光とレーザーポインターと銃口を向けられていた。


「本当に現れるとは…。情報提供ありがとうございます。」


「いえ、私は当然のことをしたまでです。一年前奴に脅されて以来ずっとやりたくもない犯罪の片棒を担がされて、もううんざりしていたんです。」


 そう言って暗闇の中から現れたのはーー相棒だった。


「な!?どういうことだよ!相棒!?」


「私はもうあなたの脅しには屈しませんっ!!」


「は?脅しってなんの事だよ…?」


「刑事さん騙されないでっ!こいつはこのおとぼけ顔で私を騙したんです!」


「安心したまえ。こいつは極悪人、刑罰がどうなるかはともかく罪人であることは確か。そんな奴の言葉に私が耳を傾けるわけがなかろう。」


「そんなっ!」


「刑事さん、最後にあのクソ野郎と1分だけ会話してもいいですか?」


「よかろう。」


 相棒が近づいてきて、小声で話しかけてきた。


「ふっ、馬鹿ですねぇ貴方。1年間も利用されていたことに気が付かないなんて。貴方はこの後、内密に刑務所に送られるんですよ。」


「どうして騙した。俺たちはまだまだ儲けられたはずだ。」


「前に言ったじゃないですか、そろそろ潮時だって。私、浄化を済ませた隠し財産と共にハワイあたりで悠々自適に暮らすつもりなんですけど、貴方が邪魔なんですよね。変に舌が肥えてるせいで高い酒ばかり頼むような未鑑定にする以外取り柄のない人、要らないんですよ。」


「高い酒…?ってか隠し財産だと!てめぇこの野郎、財産は半分という取り決めしてただろうが…!!」


「どうせ貴方がお金を貰っても使えないでしょう?だから私があなたの分まで有効活用してあげますよ。ああそうそう、貴方のその未鑑定状態に変える能力、貴方は気がついていないようでしたが、原因は貴方が未鑑定状態にあるからですよ。」


「なんだと…!?」


「どうやら人間が未鑑定状態になると触れたものに影響を与えるみたいですね。1年間利用させてもらったお詫びです、私が貴方を鑑定してあげましょう。」


「ま、待てっ!」


 クソ野郎が俺を見て「鑑定」と唱えた瞬間、自分が何者か理解した。と同時に、俺の伸ばした手が奴の手に触れた。


 俺の鑑定結果はーーーー。

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