未鑑定アイテムは『商店』では売れないぞ!
やまもン
起・このお金は受け取れません!?
「このお金は受け取れません。」
「え?なんでですか!?」
「未鑑定だからです。」
「未鑑定って…?」
朝起きると、世界は変わっていた。
全てのモノが未鑑定に変わり、使用するには鑑定済みのものでなければならなくなったのだ。
すぐに世界中が鑑定ブームになった。
ただの石ころを鑑定してもらうためだけに少なくとも1週間は行列に並ぶ必要があったので、YouTubeには誰でも五分で鑑定士になれる方法が溢れたし、その年の世界中の映画賞のうち9割は鑑定士協会のプロモーション映画が受賞したし、ノーベル賞は少なくとも3つが鑑定士に関する研究だったりした。
しかしながら、俺は世の中に取り残されていた。
なぜなら、俺が手に持った物は全て未鑑定に変わってしまうからだ。
鑑定済みの商品を未鑑定状態に変えてしまう俺は全ての店のブラックリストに入ってしまい、入店すらできない。
レストランに行っても、座った椅子や手に持ったナイフやフォークといった食器を未鑑定状態に変えてしまい、食事をする前に追い出されるか、俺が未鑑定状態に変えてしまった物の鑑定代を請求されるかのどちらかで、俺は人にあーんで食べさせてもらわなければならなかった。
そんなある日、すっかり引きこもりになっていた俺の家にスーツの男がやってきた。
「貴方が未鑑定士ですね?私、東京で鑑定士をやっております。本日は貴方にとっておきの儲け話がございましてね…」
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