ブルー・ダンゴ
皆さんは、ルロイ・アンダーソン作曲の『ブルー・タンゴ』という曲を知ってるだろうか。一応ジャンルとしてはクラッシック音楽になるんだろうか。
昔、いすゞ自動車「ジェミニ」のCMに使われた曲、と言って分かる人もいるかもしれない。分からな人は、探せば動画なりがあるだろうから一度聴いてほしい。
私は小学校高学年の時、吹奏楽部にいた。
なぜかって? 大きな声では言えないが、好きな子が入っていたから。
会える時間が増えるでしょう! 話す機会もできるでしょう!
男子は少数で肩身が狭かったが、音楽好きを演じて入部したのだ。
でもそこは結構ブラスバンド大会で優勝したりする部ような伝統ある部で、気合が入っていてしんどかった。好きな子がいるからという不純な動機で入った私には、きつかった。
顧問は、授業でもお世話になっている女性教師だった。結構厳しい人で、真剣さと情熱の表れだから文句は言えないが、怒ると怖かった。
ある時期、大会の発表曲がこの「ブルー・タンゴ」になった。で、それからはこの曲を練習する日々が続いた。
部活では、前半各楽器(パート)ごとの練習をしてから、後半先生の指揮で全体合わせをする。その時、各々の音がうまく噛み合ってなかったりしたら、先生は決まってこう言って怒った。
●これじゃ、ブルー・タンゴじゃないわ!
ブルー・ダンゴでしょう! コラ、みんなもっと本気出す!
当時は怖くて震えあがったが、時を経た今ではベタなダジャレだったなぁ……としか思わない。
さて、ブルー・タンゴとブルーダンゴの違いは何だろう。
『タに点々』 があるのか、ないのかの違いで言葉上はほとんど変わらない。
しかし、指し示すものはだいぶ違う。ブルー・タンゴは往年のタンゴ名曲。一方は、食欲が失せそうな「青い団子」。字の上では、点々(濁点)があるかないかだけなのに、結果として何のことかは天と地ほどの違いがある。
筆者は最近のメッセージで、タイヘンな時代になったと言った。
そのタイヘンさ加減を何とかするためには、やはりタイヘンな労力が必要だと思いますか?
実は、それほどタイヘンではないのだ。エネルギー的労力、という観点では。
●ブルー・タンゴがタに濁点を付けるだけで青い団子に簡単に変身するように、この世界はある程度とりあえずそのままでよくて、ちょっとその方向性を変えてやればよいだけ。
もちろん、長期的展望とすれば原子力発電は何とかしていくべきだし、コンクリートやアスファルトで覆い過ぎてしまった分を、本来の自然な大地にする必要はある。食糧の自給率を上げていく必要はある。
でも、それはおいおいでよい。とりあえず入り口としてはハードはそのままでいい。人々の気持ちというか、認識だけ変わればいい。
言うのは簡単だが、完璧な意味で「世界を良く変える」ことは、大変だ。でも、とりあえずの成功として世界の有様はそのままで、人の気持ちとハードや制度の使い方、身分制度や給与制度や税制、経済システムと流通システムをいじるだけでも、インスタントに一定程度良いほうに世界を変えることはできる。他はあとで追いつけばいい。
でも、だからと言ってそう甘い話ではない。
●世界を変えるのは、具体的にはそう難しくはない。
ただ、変えようと「決める」ことだけが、難しい。
一番のネックは、特権階級が「既得利益をチャラにできるか」にかかっている。
これまでのシステム上の取り決めをいったんご破算にし、いちからある程度民全体に富が行きわたるように「分配」することが先決である。
貧しい者、これまで苦労した者は喜ぶが、面白くないのはそれまでうまい汁をすってさんざん贅沢してきた者だ。よほど精神的に高くないと、喜んでは手放さないだろう。この世界には、今の世界に変わってほしくないという人間もいるのだ。
彼らの数を減らさないと、改革は難しい。そしてそういう人種は得てして強い権力と財力を持ち、簡単には言うことを聞かせられない立場にいるので、一層変化してくれる望みが薄い。
望みが完璧に潰えた時には、イヤな話をしなければならないが……
その時に何が起きるかといえば、「自然災害」である。または戦争。戦争までいかなくても、フランス革命のように一定の血を流す争いが生じる。
だって、人間は面倒くさがりなので、少々の不都合なら全部をいちから変える面倒は避け、すでにあるものを使い続けようとする。ということは、イヤでもぶっ壊れたらいちから作り直さざるをえない。同じいちから作り上げるなら、どうせなら以前うまくいかなかった部分を大改革しよう、という気にもなる。
人間が改革をしり込みするなら、いつか何かの後押しを受ける。
それをされるのがイヤなら、人間は自分から進んで痛みを伴う改革をしないといけないのだが、果たしてやれる度胸あんのかねぇ。今の権力者階級はヘタレだからねぇ……
この世界の有様(建物・交通・流通機能)はとりあえずある程度はそのままで、世界を変えることはそう難しくはない。「ブルー・タンゴ」のタに濁点を付けるだけと同じで、取り決め事や世界の運営理念をすげ替えるだけで、インスタント理想社会の出来上がり。
でも、やること自体は簡単でも「その簡単なことをやりたくない」とダダをこねる人がいる。問題は、本当に決断だけ!
みんな頭では分かっているんだよね。トップも含め皆が考え方を変えたら、今すぐにでも世界は変わるって。でもどこかで、言うのは簡単でもそれが宇宙一「難しい決断」だと分かっているから。
人間が 「損をすることを恐れる・嫌がる」 生き物であるという事実に立ち向かえないなら、この地球に明日(未来)はない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます