ありがとうって伝えたくて

 あるTVドラマを見ていたら、次のような場面があった。

 イケメンの売れっ子芸能人が登場するが、人気があるだけにアンチも多い。

 その人物が、根も葉もない(しかしその人物のキャラならあってもおかしくない)噂を立てられ、苦境に立たされる。友人が「大変だね」と慰めると、彼は「この世界にいて、そんな扱いにはもう慣れたよ」と苦笑しつつも、彼なりの人間観を友人に語る場面がある。



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 おれは、自分に関わってくる人間を二つにわけて考えている。



●まずひとつには、「自分に関心を持ってくる人間」。



 ここで言う関心ってのは、芸能人としてのおれが好きで、ファンだっていう程度のことじゃない。

 本当におれに関心のある人間ってのは、おれから直接見聞きしたんじゃない情報 (芸能週刊誌・マスコミの流す情報興味本位を煽るや悪い噂)を聞いても、それを則採用しない。

 こんなこと聞いたけど、本当はどうなの? とオレ自身に確かめてくれる。すぐにそこまでできなくても、自分で納得のいく確認ができるまで『保留』にしておいてくれる。



●そして、ふたつめが 「おれに関心がない人間」。



 実はほとんどのやつが、これに当てはまる。

 芸能人だということで、オレのことを知っているやつも、テレビを見てるとかファンだとか好意的に思ってくれているやつも確かに多いだろう。でもこいつらのほとんどは、テレビや雑誌で言われたことや噂話を、そのまま信じてしまう。真偽のほどを確かめるために、自分の腰を上げることなどない。

 その情報でいい、って思っているからだ。つまりおれはほとんどの人にとって、情報の真偽を汗をかいてもっとちゃんと確かめる労力を割くにも値しないやつ、ってことだ。

 大勢の、ただ有名人だからテレビに出ているからっておれが好きなやつらにとって、実はその程度の存在なんだ。でも仕事だから、やっぱりファンや視聴者は大切にするよ。たださ、芸能人って仮面を脱いだ正味のオレ自身でいられる時にはさ、「自分に本当の関心をもってくれる人間」と一緒にいたいと思うのさ。申し訳ないけど、本当の意味でおれに関心のない千人よりも、おれに関心のあるたった一人のほうが大事だ——。



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 皆さんにとって本当の友人とは誰か? 考えてみるといい。

 たとえば、その友人に関して悪い噂を聞いたとする。悪口をひとづてに聞いたとする。その時、あなたが当事者に確かめるまでのことはしないな、「へぇそうなんだ」 って思って終わりだな、と思ったなら、あなたにとってその人物は本当の友達なんかじゃない。

 都合の良い時だけ仲間になり、相手と付き合う実質的うまみがなくなったら切り捨てる、程度の「つながりのある人間」にすぎない、ということだ。

 しかし、あなたが「そんなことはにわかには信じられない」と、本人に確かめずにはいられないなら。どんな話を聞いても、自分の目と耳で確かめられるまでは、その人物を信じることができる。また、たとえ噂通りの悪いことがあったと確認してさえ、それでも相手がきちんとけじめをつけさえすれば「変わらず友達でいられる」。

 そんな関係をこそ、「友達」と呼ぶのではないか。



 筆者も、一応人気商売のカテゴリーになるので、読者や関わってくれる人たちは基本お客様である。ありがたい存在である。そのことは認めつつも、ある一線を越えるものは容赦なく切り捨て、無視する。

 だって、私に本当の意味で関心のないやつらは、付き合う意味がないからだ。自分を抑えてまで機嫌を取って、引きつけ味方にしておくほどの意味がないと思うからだ。

 だから、客商売であり人気商売のくせにやたら上から目線だな、と思う人もいるだろう。あなたの聞きたくない、気に食わない話が載っていることも多いだろう。

 そう思ったあなた。あなただ! 私には必要ない。

 二度と、私の書いた文章を読まなくていい。



 もちろん、そう数は多くない。むしろ、多い少ないで言えば圧倒的に少ない。

 でも、その少ない友達がいれば、私は生きてはいけそうだ。

 私にも、そしてきっとあなたにも、「本当の意味で自分に関心を持ってくれる」友達が一人以上はいることだろうと思う。(自覚できる範囲でいない人は、生きている間に死ぬ気で一人はつくりなさい!)

 そんな決して多くない友人のために。そして、会ったことはないかもしれないけど、色々言われる中でもその情報に踊らされず、本書なり私の配信動画なりを自分の目で感性で確かめて、関わり続けてくださる皆様へ。

『ありがとう』と心から言いたい。

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