地球、という名の壮大な劇

 筆者は、こういう質問を受けることがある。



『原発について、どう思いますか?』

『先日の、体罰による自殺の事件について、どうお考えですか?』

『中国との関係・北朝鮮問題は今後どうなると思いますか?』

『ラーマは、いかがですか?』



 ……最後のは、冗談として。

 私は、こう答えるしかない。



●どうも思いません。



 いや、本当に。

 申し訳ないが、本当に問題と思えない。

 覚醒した立場から、宇宙はただあるがままにあり、すべては最善に(一般的な人間の都合が指す最善とは違うことに注意)最高のタイミングで起こっている、としか認識できないから。

 善悪を超えていない立場からのみ、上記のような質問が発生する。つまりは、是か非か、というジャッジを求めているのである。

 もしくは、暗に『やっぱり問題ですよね~。ひどいですよね~』ということが言いたいのだ。質問者の承認欲求ですな。そして、うんうん、ひどいよね、何とかしないとね、と同意してほしいのである。

 実は宇宙の主人公たるその人が問題だと認定したその瞬間から、そういうシナリオが力を帯びて展開していく。

 確かに、私たちはこの世でゲームをしている。でも、この人たちのやろうとしているのは『ワクワクしないゲーム』 。

 そういうのをやる自由もあるが、私はご遠慮したい。



 確かに、ニュースを通して耳にする「問題」と呼ばれるものはある。

 それを「ない」とまでは言わない。

 ただ、私はすべての人間が何かの問題に「同じエネルギー・同じ真摯さ」で向き合う義務がある、とは思っていない。

 あなたがパン屋でないなら、パンを焦がすかどうか心配する必要はない。

 あなたが役者か俳優でないなら、セリフを間違える心配をする必要はない。

 ただ、あなたはこの社会において「何者か」ではあるはずである。

 職業があるだろう。または親であったり子であったり、兄であったり弟であったり。なにかしらの「立場」があるだろう。あなたは目の前のそれを一生懸命責任をもってまっとうすればそれでよい。それと同じように——



●猫も杓子も、原発問題・経済問題・国際問題を問題視し、関わる必要はない。

 その人が与えられた場所で。仕事で。人間関係で。

 そこで喜びの花、情熱の花を咲かすことができれば、よい。

 自分の役割を見事に果たしてさえいれば、他の事は、他の役の人間が見事に解決してくれる(と信じて生きる)。



 もちろん、こういうケースもある。

 あなたは原発の近くに、住んでいる。

 あるいは、自分の職業が政治家である。

 また、原発の職員であったり。関係者の家族であるなど——。

 いじめ自殺の話で言えば、当事者の身内であったり、親友であったり。

 このように、その人が生きる範囲で、無視できないものとしてその問題がある場合、それはその人独自のそういうゲーム設定である場合がある。

 その場合は、無視しないのが良い。

 もちろん、本人が望まないなら別だが、一応のゲームのクリア条件にはなる。

 皆さんお分かりだろうが、ゲームで失敗しようが、責任を問われることはない。

 テレビゲームでゲームオーバーになろうが、警察が捕まえに来るわけでもなく、裁判にかけられるわけでもない。それと同じで、ゲーム設定やクリア課題から逃げたりしても、何ら問題はない。究極的には、幻想だから。



 演劇というものを考えてほしい。

 原作があり、お話の流れがあって、その上でどんな配役が脚本には必要かが計算される。王子の役。大臣の役。町の商人の役。盗賊の役。乞食の役……

 必要な役がラインアップされ、誰が演じるのかが割り当てられていく。

 王子の役だけに価値があり、乞食の役に価値がないかというと、そうではない。

 どちらも、必要。同価値である。

 王子の役が果たすべきなのは、あくまでも王子の役でしかない。他ではない。

 他は、他が責任をもって演じるのだ。王子は、とりあえず自分の責任を果たすことしか、することがない。



 私は今、地上において『賢者テラ』という役を演じさせていただいている。

 その日々の中、感じている。私は、私としての役を喜びと情熱をもって演じ続けて行くなら、他の事は他の役の人がうまくやってくれる、と。

 1億歩譲って、本当に私が何らかの外部問題で死に直面するとする。戦争か、環境破壊か。でも、私はそれを問題と認識しない。

 私が「宇宙で起こることはすべて必然であり、あるがままで同価値」と言う時、それは建前ではない。本気も本気。

 ああそう、ってなもんで受け入れていくだろう。もちろん、残念ながらこの世界に「絶対」はないので、人間風情がいくら何かに自信を持っても、ただの推測の域を出ないことは認めますが。



 ここで、新時代の常識。



●あなたが認識していないことは、起こっていない。



 私たちは、ニュースで見聞きしたことは、実際に見てなくても「起こった・あるいは起こっている」と思っている。

 長い間、人類が信じ込まされてきた常識感覚なので、拭いがたい気持ちは分かる。

 でも、認識しないことは起こっていないのと同じなのだ。

 本書の最初のほうで書いた。私の背後は、存在していない、と。見えていないけど駅前にあるローソンは存在するというのは錯覚で、実はない、と。

 それの応用型に当たる。つまり、直接見聞きしていない事件・事象はあなたのワールドにおいて厳密には存在しない。

 ただし、これには注釈が付く。



●直接見聞きしていない事件・事象があなたのワールドに存在しない、というのは例えば、TVゲームの「シューティングゲーム」を想像してもらったら分かりやすい。

 マップ自体は広いが、プレイヤーに見えているのは自機の周辺のある程度まで。四角い画面に映っている外側(見えていないマップ部分)にも敵がいたりする。

 画面に表示されていない敵はあなたには見えないが、機械の中ではちゃんと計算されていて(動きが把握されていて)あなたの操る機にそいつが近づいたら、突然画面の端からニュッと現れて表示される。

 つまり、基本的にあなたの意識が認識しない事柄はとりあえずあなたの見ているワールドには影響を与えないが、何かのはずみであなたがある情報を把握してしまった瞬間からその影響は発動する。

 また、あなたが認識するしないに関わらず、あなたに身近な他プレイヤーがあなたの関知しない何かの問題に巻き込まれたり、強く意識したりする時。その身近な人物に押し出されてもらい事故するみたいに、強制的に問題を出現させられることがある。



 確かに「宇宙の主人公たる自分の預かり知らないことろでひそかに問題が進行しており、いつの日にかとんでもないことが起こるかもしれない。起こってからでは遅い」という恐れをもってしまうのは理解できます。

 でも、心配してどうなりますか? 現に、世界は滅んでいますか?

映画『007シリーズ』 や海外ドラマ『24(トゥエンティー・フォー)』などで描かれている世界(世界の危機)は、決して映画の世界だけのことではないですよ。現実も、大なり小なりあんなものだろうと思います。

 でも皆さん。だからっていって何もしないでしょ? いや、やりようがないでしょ? でも、あんな危なっかしいことが庶民の知らない所で起こっているなら、地球はいくつあっても足りません!

 でも、不思議なことに今日も朝は来ました。多分明日も、間違いなく来るでしょう。なぜ?

 それは私が、あなたが、劇中の役を一生懸命まっとうしているから。

 それ以外の事は、信頼できる「他」がまわしてくれるから。

 だから私たちは憂いなく、自分の役割に精を出せるのだ。

 本日の教訓。



●あなたが、喜びをもって自分の役を演じるのに没頭するなら、他のことは一切心配しないでよい。すべて、他の担当が見事にクリアしてくれるから!



 私が無理に原発問題にクビを突っ込まなくても。

 教育問題に、心を曇らせなくても。

 私が自分の地上での使命だと認識できることに集中してさえいれば、すべてうまく回っていくようにできているのだ。

 そこは、宇宙のキャスティング(配役)を信頼しようよ。実に見事だから!

 だから、筆者は筆者の役、あなたはあなたの役をやりきりましょう。



 この世のあらゆる問題は、それにリアルに関わる必要のある人のもの。

 関わることも、その人たちの特権。

 この地球という名の演劇で割り当てられる役は実に多岐にわたるので、筆者の役には、脚本にある説明によると今のところは原発・国際問題などは出てこない。

 出てこないから、出しゃばって演じなくていい。

 もちろん、関心を持つ自由もある。しかし、心からの喜びがないならまったく首を突っ込むメリットがない。

 私は、私の魂の声に忠実に従って、好きなことをこうして執筆し好きなことをしゃべって動画にあげる日々を選ぶ。そうすることで私の属する世界は、自然と喜びの波長を帯び、いつのまにか問題は問題でなくなっている。

 問題とは、解決を勝ち取るものではない。より大きな喜びや成果の前に、問題などその存在が消えてかすむ、というのがより楽しい解決法である。



 結局、他人に「~をどう思いますか?」なんてのは愚問なのである。

 興味本位のヒマ潰しと認めたうえで、なお聞きたいならまぁいいが。



●じゃあ、あなたはどう思うのですか??

 つまり、自分はどう思うのかしか、重要ではないのです。



 これ以上に大事な問いなんてないし、これ以外に人に問うても意味がないのである。もちろん、参考にするために他人の意見を聞くのはアリだが、偉い人の答えに依存するような聞き方は危険だ。

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