外に問題はない。すべてあなた自身のこと

 人間一人ひとりは、そもそも神であった。

 すべてが完全であった。

 ただ、永遠性と絶対性と静寂だけがあった。

 これは三次元の言葉では、正確に表現しようがない。



 しかし、その神は遊んでみようとした。

 自らの完全性を封印した世界。二元性の世界というアドベンチャーゲームを作って遊ぼうとした。

 何で完全で絶対のままでいなかったのか?

 何でわざわざ、こんなややこしいこと(三次元の世界の出発)に手を出したのか?

 そんなことは、分からない。

 テレビ画面内のゲームキャラが、操作している人間の考えや気持ちなどあずかり知らないのと同じこと。

 完全な覚醒を果たし、カルマもなく、もう二度とこの三次元宇宙に戻ってくる必要がない存在になった時、分かるのかもしれないが。



 本来の神だけの世界、つまり一元性の世界では相対概念がない。

 主体と対象、なんてない。ワンネス、つまり一(いち)なることがあるのみだ。

 完全であり、そもそも間違いなど起こらない。

 それでは面白くないので、神(私たちの正体である超意識)はひと工夫した。

 相対概念を作り出したのだ。わざわざ。

 大いなる一(いち)でしかなかったものを、無数の個別に見える要素に分裂させた。これが現実の現象として現れたのが、ビッグ・バンの始まりだ。



 陰と陽。高いと低い。長いと短い。

 早いと遅い。大きいと小さい。東西。南北。

 熱いと冷たい。うれしいと悲しい。楽と辛い。

 強いと弱い。近いと遠い。男と女。

 光と闇。善と悪……



 このように、『反対のものが存在する世界』をつくった。

 楽しく、ワクワクするゲーム世界の誕生なわけだが、このゲームにはリスクがあった。本来は完全で絶対であったものが、反対のものがある世界をつくったので——



 善に対して「悪」というものが。

 正しい、に対しては「間違い」というものが。

 良いものに対しては「悪いもの」が。

 必然的に生まれてしまったのである。



 私たちの住むこの世界は、価値判断に満ちている。

 どこもかしこも、ジャッジメントだらけである。

 皆、自分が「正しい」と思うものを基準として、そうでないものを「間違っている」と考える。その基準はあまりにもまちまちなので、正誤の、善悪の基準のズレから争いが起こる。

 これが、この三次元世界で、人々が最も悩まされている要素である。

 


 はっきり言って、人の苦しみは9割がた価値判断が原因だ。

 だから、解決法は簡単だ。

 価値判断をやめればよいのだ。

 …………。

 えっ、それができたら苦労はない?

 それができないから困っているんだ、って?



 今、あなた何て言いました??

 で、き、な、い??

 困って、い、る??



 ……あ~あ、言っちゃったよ。

 そこなんです!

 あなた、自分の発する言葉、しかも飾らない本心から発する声が、どれだけすごいものか分かってます?

 あなたの言葉は、神の発する言葉である。

 あなたの言葉に宇宙は耳を傾け、あなたという宇宙の王の言葉通りにしようとしている。(ただし環境や他者とのからみでそれがストレートには出ないことも多いが)

 このことを忘れてはいけない。



 あなたが「できない」と言えば、本当にその通りになる。

 あなたが「困っている」と言えば、さらにその困った状況が力を持ち、強化される。そんなことも知らないで、ペチャクチャペチャクチャ感情の言葉の垂れ流しをしている人がいる。

 宇宙の物事の価値は中立だから、悪いとは言わない。でも、あなたの吐いたそのくだらない言葉が、全部あなたにのしかかってくる。

 人は例外なく、その言葉にした事柄の責任を負わされることになる。

 そう考えたら、口から出す言葉は本当に大事にしたいものだ。

 同じ言うなら、「できる」「素晴らしい」「楽しい」「問題ない」「大丈夫」……そんな言葉がいいですね。

 


 だから、価値判断に影響されない私になる! と決めるのだ!

 いいや。それでもまだ弱いな。「もう、そうなった自分」をイメージして、味わうのだ。

 そうは言ってもこの世に生きる上で、価値判断をしないわけにはいかない。現に私もこの書で、物事の価値は中立だと言いながら、散々良し悪しを語っている。

 ここに、ちょっとした秘訣がいる。



●価値判断は本来いらない、ということを知ってて価値判断をするのと、知らないでするのとでは、天地ほどの違いがある。



 ……ということだ。

 私などは、価値判断は無用の長物だと分かっているので——

 このブログで皆さんに何かを伝えるために、あえて何かがいい、悪いと言った後で、すぐにその価値判断を手放す、という心の作業を必ずしている。良し悪しを言った後で「究極はどっちでも同じ価値」 ということを確認して終わることにしている。これだと、後に尾を引かない。

 


 さて、あなたの目の前に、言うことを聞かない人がいるとする。

 何度言っても、間違いを正さない人がいたとする。

 そんな時、あなたはどうするか?

 相手が分かるまで、必死に説得しますか?

 スパルタで、ビシバシしごきますか?

「何であんたはこんなことも分からないの!?」

 ……なんて言って、イライラカリカリしながら、どうして世の中にこんなヤツがいるんだろう、といぶかる。



 さて、新時代のものの考え方。

  他人は、すべてあなた自身の反映である。

 外に見えるすべての現象は、あなたが生み出している。

 あなたの外側に、言うことを聞かない人がいて。

 あなたの外側に、殺人事件や詐欺や災害のニュースがあって。戦争があって。

 あなたの外側に、けしからん人や事件がある。

 そしてそれに対して、ジャッジしている自分がいるー。



 それ、全部幻想ですから。

 他人などいない。

 この世界に、文字通り『他人事』というのは存在しない。

 全部、あなたという映画監督が撮影した映画を、外側に上映しているだけですから。だから、あなたが外側に問題を見つけて、取っ組み合って解決しようとすることは、映画のスクリーンとけんかをするようなもの。

 映画なので、そこの映像と戦ってもバカなだけである。

 それがイヤなら、監督であるあなたが違う映画を撮ろうと心を入れ替えることだ。

 


 新時代の、問題の対処方法。

 自分の外に問題はない。

 外に問題を見たら、すべて自分の中のことだ、と認識する。

 そして、自分の中の感情ブロックを、認める。外す。ゆるす。

 つまり、自分の内部だけで問題は完結するのである。



 どうしても、問題は問題としてきちんと認識して、解決したくなるのが人情だ。

 そうでないと、問題に対して誠実ではないという思いが、とくにビジネスマンにはあるだろう。でも、それは新時代においては放棄されていく姿勢である。

 問題は、「相手にすればするほど」大きくなって、力をもっていく。

 一番の解決は、「問題を問題と思わない」こと。

 どうしてもそう思えないなら、目をそらさず逃げず、ひたすら見つめてあげる。

 究極まで見つめれば、どこかの時点で「スポンと突き抜ける」 。

 これは、言葉での説明が難しいが、その境地になったら、もはやその問題はあなたを悩ませなくなる。



 あなたの言うことを聞かない人は、ほっときなさい。

 必要以上に構いなさんな。

 構うことが、逃げないことが愛だとか、それはもう古い。

 あなたが、その対象に対する認識さえ変えればよい。

 だって、あなたの意識と意図こそが、宇宙の中心なのだから。



『バカは死ななきゃなおらない』

 そんな言葉がある。

 その人が、散々何かを味わって、『もうこれはたくさん!これ以上いらない!』

 そんなふうに現状が心からイヤになった時、初めて自分を変えようとするだろう。

 そうなるまで待ちなさい。そうなる前に説教をしても、嫌がられ反発されるだけである。反発するなら、まだその人には「余裕」がある証拠なのだ。

 その余裕があるうちに人を変えることは、至難の業だ。



 ただ、あなたの内側から何か強い促しがある時。

 もしくは、相手があなたに助けやアドバイスを求めてきた時。

 その時には、労を惜しまず助けてあげなさい。それだけでよい。

 こちらからおせっかいを焼かなれば救われないほど、他人は愚かでも情けなくもない。相手は神であり、その人が開いている宇宙の中心である。

 逆に、あなたが「この人は問題だ」と思うことで、そういう人を作り出している。



 自分に起こることを、外部の何かのせいにする生き方は終わりにしよう。

 新時代においては、すべてのことを自分の責任として受け止める。

 そして見つめて、ゆるす。この繰り返しにより、覚醒へと導かれる。

 今までは、神や悪魔のせいにして、人間は起こることの責任逃れをしてきた。

 でも、もう逃げてはいけない。

 全部、自分の反映だから。

 だからその反映が気に入らないなら、自分の内面を変えるしかない。

 


 どうか、覚醒へと向かうあなたの旅が、良き旅路でありますように。すでに覚醒した者には、これからの時代がワクワクした楽しいものでありますように——。

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