第10話 生産チート

名称:初級ライフポーション

種類:薬品 品質:10

耐久値:100/100 重量:1

効果:HPを137回復する。5秒間HPを1回復する。5分間の状態異常を微小軽減する。

参考:レスト作。上物。

創造者効果:HPを274回復する。10秒間HPを2回復する。10分間状態異常を小軽減する。1分間HP+10。創造者権限。


「どう見ても別物だろこれ」


 レストが【神工房】の道具と生産ルーム、パッシブで効果のある【神匠】で試した結果。

 神工房で選べる最低ランクのポーション用ガラス瓶使った以外、大量生産クエストと同じ品質1の薬草と水で最高記録と同じ製法だったのに、約三倍の回復量を持つポーションが完成した。

 さらに、初級が持ってたらいけないような効果も付いて。


「…創造者効果ってことは自分に使う効果が2倍か。効果に甘えないよう、妥協しないで製法の研究はしていくべきかな」


 レストはレジェンドスキルのデタラメさに慣れてきて、普通に対応出来るようになった。

 今度簡易セットやギルドの調合部屋で試そうと考え、ふと視線をポーションの情報へ持って行くとスルーしていたものに気づく。


「創造者権限?」


 レストは文字の部分を押してみる。


「…………これ凶悪過ぎる」


 創造者権限で出てきたのは、ライフポーションでは設定できないがダメージ不可や状態異常不可なども出てきて。

 使用や装備を不可能にするや、任意の対象のみ使用可能とする、任意の対象にダメージ不可にするなどがある。

 レストが特に凶悪だと思ったのは、特定の効果のみ作用させないと、創造者に限り装備条件を無視するだ。

 つまり、デメリット効果を無効化し、自作装備は全部装備可能だということ。

 ちなみに、レストは気づいてないがデメリット効果は【存在改変】で消したり、別の効果にできるから問題なかったりする。


「次は【宝物庫】かな」


 レストはMP問題、意味不明な素材とスキルレベル問題により【宝物庫】からすることにした。

 インベントリの携帯食28個をメニューを使い宝物庫へ移動させる。


『宝物庫』

容量2/15

保管量0/15

携帯食×2


「えっ、何で26個どこ行った」


 レストが焦って、携帯食の部分を押すと。


携帯食×15

携帯食×13


 これが【宝物庫】の容量を種類で1つにする効果。

 一種類のアイテムをMPと同じ個数分だけ重複させて最大225個収納できるスキル。

 初期段階でインベントリの4.5倍入り、MP次第で容量が増える。


「もともと増やす予定だったし、試しにAP2ポイントだけ増やしてみるか」


『宝物庫』

容量1/35

保管量0/35

携帯食


 最大1225個、インベントリの24.5倍入るようになった。


「うん、凄いんだけど。何かパッとしない」


 レストが容量に困ったのは大量生産クエストの時だけ、だからそこまで実感が湧かず、他のスキルに比べて対したことないなと感じてしまう。

 保管所に行き、緑のリュックと茶色の腰掛けポーチ、使わない素材やアイテムを置いた。


「【神器製作】は素材的にもスキル的にも無理だし、この三つか…。絶対MP足りないよな…10ポイント分増やすか」


 これで足りなかったら諦めることに決め、APを10使う。

 MPは135になり、全回復してから試した。


「【万物創造】」


 【万物創造】はメニューに存在する万物創造の欄である素材、品質、個数を決めて発動する。

 目の前に金色の光を放つ魔法陣が現れ、消えると同時に今回創り出した品質1の薬草があった。


「神スキルかよ」


 消費したMPは10。

 装備無しの一番弱い魔法系スキルと同じぐらいで、最低品質の薬草を創り出せるぶっ壊れスキルだった。

 MPを全回復させる間に確認したとき、レストは使うまで疑っていたけど本当に10で作れて驚いた。

 試しに、2つ同時に作ってもMP20で、品質2に上げた薬草はMP12という良心的仕様。

 ちなみに、品質2の薬草は自然エリアの草原で手に入れたものだ。


「次は【万物召喚】…は最後にして、【存在改変】か。スニークスニーカーでいいかな」


 メニューから存在改変を使い、スニークスニーカーを試そうとしたが自作ではないので出来ない。


「自作のアイテムか……初級ライフポーションしかない」


 スキル習得のために作ったものなど全部、クエストで納品し、作る機会が無かったから、何かあったとき用の初級ライフポーションしかない。


 品質5で回復量45のポーションを選択し、回復量を強化させる。

 MP100消費し、品質9の回復量89まで上げることができた。

 ちなみに回復量46のポーションは上げたら、負けた気がするからやめた。


「妥当な気がするし、何かずるした気分になる」


 レストは他の効果を追加してみたり、再び強化してみたり色々した。

 分かったことは強い効果を付けるほどMPを多く消費すること。

 効果を弱体化か除去させると、失った分だけ、効果の追加も強化も可能だった。

 さらに、喪失分と追加分はいくら動かそうと損失が出ない。


「今度、デメリット効果試そう」


 レストは入手した効果が増えれば増えるほど、強ければ強いほど理不尽なスキルになると考え、創作意欲が増した。


「最後の【万物召喚】はあれ試してみるか」


 あれとは【万物の創造者】限定で外部バッテリーの役割を果たす【宝物庫】のことだ。

 レストがやろうとしていることは、【宝物庫】のMPを貯める機能を利用し、貯めたMPと自分のMPで【万物召喚】をするというもの。

 消費MPで品質や素材が変動する【万物召喚】に最大MP量の二倍のMP270を使い、良質なアイテムを恵んで貰おうという寸法だ。


「MPもここにいる限り凄い速さで回復するし」


 超>特>大>中>小>微と効果の違いがあり、この神殿内は一番高い超の自動HPMP回復が常に発揮され、5分もあればMPは全回復する。


「【宝物庫】にどうやってMP貯めれば良いんだろう…うん?少し貯まってる??」


 MPが半分回復した段階でメニューから【宝物庫】の保管量を確認すると、既にMPが24ほどあった。


「いつ貯めたけ。自動回復効果これにも効いてる??いや、それはないか。それだと最初に【宝物庫】を開いたときに、MPが保存されてないとおかしい」


 メニューから【宝物庫】にMPを送ってみたり、逆に【宝物庫】からMPに注いでみたり、色々としてみた結果。

 MPはレストから送れるが【宝物庫】から送ることはできないこと、送った分のMPを損失無しで保管できることしか分からなかった。


「自動回復の謎はそのうち探そう」


 レストは【宝物庫】の画面を見てもMPが回復する様子がないので諦め、両方ともMPが最大までなってから、最後のスキルを試した。


「【万物召喚】」


 【万物召喚】は【万物創造】と同じようにメニューから消費MPを決めてから使うタイプで。

 発動すると金色の魔法陣から創り出されたのは、黒い小さな木の実だった。


「何これ」


 レストがアイテムを手に拾い、情報を見ると。


名称:炸裂の実

種類:薬材 品質:3

耐久値:3/3 重量:1

効果:衝撃を加えると微爆発する。投擲可能。自爆可能。

参考:取り扱い注意。


「うぉっと!!…あぶねぇー」


 爆発物が召喚されたと知り、思わず炸裂の実を落としかけた。

 レストは炸裂の実をインベントリにしまい、何かに使えるかもと思い情報を見て考えた。


「これ使ったらあのネズミ倒せるかも」


 【万物の創造者】で膨大な量のレシピが見れるようになり、この素材を使えるものを探す。


「あった」


 そして、急いで生産エリアに向かい、作り始めた。


「できた」


名称:炸裂薬

種類:薬品 品質:7

耐久値:100/100 重量:1

効果:衝撃を加えると小爆発する。攻撃力+16。自爆時威力強化微。投擲可能。自爆可能。

参考:レスト作。取り扱い注意。

創造者効果:衝撃を加えると中爆発する。攻撃力+32。自爆時威力強化小。投擲可能。自爆可能。創造者権限。


 これがFMGにその名を轟かせる爆弾使いが生まれた瞬間だった。

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