ep14.『どうでもいいこと』

♦︎


ひよりの春休みの朝は早い。


「うるさい!」


嫌いなアラーム音がなっているスマホを寝惚け眼で操作する。

今日は3月31日木曜日。


「うぅ〜うわぁあはあ」


奇声をあげて起床する。で、またお布団にゴロンとする。

お布団は心地いいものだ。横になってスマホをぽちぽち弄ってるとラインから通知が飛んできてガバッと起き上がる。


早希さきちゃんからだった。パジャマが皺になるのも構わずにゴロゴロする。

話の要件はこうだった。




sakiさん『おはよう♪起きてる?』


Hiyori『早希ちゃんおはよう♡起きてるよ。どうしたの?』


sakiさん『私今日部活ないから遊ぼ!』

sakiさん『あ、ひより今日何か用事ある?』


Hiyori『大丈夫だよ○何時にどこ集合?』


sakiさん『10時にひよりの家に私が行くから大丈夫』


Hiyori『わかった〜!(≧∀≦)待ってるね』




sakiさんは早希ちゃんのことで、早希ちゃんがアルファベットの名前にしてるからひよりもアルファベットの名前にしたのだ。昨日の会話をコロコロと画面をスクロールして見たい気持ちもあるけど時間がない。


用がなくなったと思って、洋服を着替えようと思ったらピロンとまた通知音がなって即座にベッドにダイブした。


たくと『朝早くにごめん、ちょい金貸して』


「さってと、着替えようと。昨日は輝くんだったなぁ」


クラスの男子の毎日のように送られてくる通知を無視してタンスから洋服を適当に出していく。ルームウェアの黒いホットパンツは着替えるのがめんどくさい。


それに、どこか出かける予定もないので変に見繕うこともせず無難に上のパジャマだけセータに着替えた。セーターってあったかいね。


「顔洗わないとー」


一階の洗面台までトコトコと歩いていき、着いたら軽く髪を結わえる。洗顔する時に髪の毛が邪魔になる時があるのはお分かり。


水で、簡単に洗ってそのあとに化粧水をパッパと顔にかけてまたゴシゴシ、はしないけど顔全体につけていく。パックとかあるけれど、ひよりは普段あんなのやってる暇ないから全くやらなくなった。


で、そのあとは歯磨き。きちんとこれはゴシゴシ磨く。うがい用にペパーミントのモンダミンを使ってる。これがまたいいんですよ。


「ガラガラガラガラ」


うがいの音が意外と好きなひよりです。歯磨きが終わったら今度はアイロンで髪の毛を整えていきます。意外と癖っ毛なひよりはきちんとやらないとそれはもう嫌なレベルで跳ねる跳ねる。


「うぅ…一瞬で髪の毛整えてくれる機械とかないかなぁ…」


ひよりが使ってるアイロンはストレートの方で、こいつのメーカは知りません!

あ、でも早希ちゃんが泊まりに来た時に「サロニアの使ってるんだ!」って言ってた気がする。じゃあ、これはサロニアのアイロンですね。


さて、髪の毛整いました。あれ?この後何するんだっけ…。あ、朝食だ。

朝のスキンケアが終わったら朝食を作ります。いっつもめんどくさいので食パンに

何か適当に塗って食べてるだけです。


「えーどうしよ…マーガリンにチーズでいっか」


塗って、焼いて、チーン。カリカリ?いや、サクッサクッの食感がまたいいよね。

台所でふっかふっかのソファに座っていたら足元に可愛いマイキャットがスリスリ寄ってきました。


「どうした?食べたいの?だーめです。ミルちゃんはドッグフードでも食ってろ」


ふと、気になったことがあって時間割確認します。


「…9:40分?確か…早希ちゃんは…10時にって、え、ヤバ」


急いで食べて、二階に上がります。あ、両親はお仕事です。煩い弟が一匹いますが現在部活でしごかれ中…。なんやかんや準備をしていたら、ピンポーン。


「はぇ!?はや!」


ドタバタと階段を駆け降りてドアを開ける。


「ヤッホー!って部屋着のままじゃん」

「早希ちゃんヤッホー…ちょっと来るの早くない?」


「え?そうかな〜?」


「うん。まぁ、上がって上がって」


今日の早希ちゃんはいつも通り可愛い洋服を着ています。袖リボンになってる白いブラウスの上にこれまた白いボアアウターを着てる。そこに赤色のロングスカートを履いていて、似合いすぎ問題が浮上しています。


「わぁ!あったかいね。あ、ミルちゃんだ!おいでおいで」


ひよりも早希ちゃんも最初はミルのことをマンチカンだと思っていた。

けれど、見る見るうちに太っていってあれ?この猫マンチカンじゃないねと。

だって、マンチカンはタヌキみたいな猫にはなりませんから。


あ、ちなみにこの猫はラグドールです。


呼べば来るのがもうとっても癒し。


「さて、今日は暇だと言っていましたがひよりの家で何をするの?」

「ゴロゴロしたい」


「それって自分の家でも出来るよね?」


「姉と兄が煩いんだよぉ〜」


「ちょっと待っててね。麦茶持ってくる」


実に8年の付き合いの早希ちゃん。もうひよりの家を我が家のように寛ぐ。

ポットから二個のガラスのコップに麦茶を注いで持っていく。


「ミルちゃん、またおっきくなった?」


「またじゃないよ…もうずっとだよ」


アジの干物を4匹食べる猫なんてひよりは見たことがない。


「私、ひよりの部屋に行ってマンガ読んでていい?」


「いいよ〜。ひよりは洗い物したらそっちに行くね」

「やっぱり、そっちの方がひよりは可愛いよ」


「え?」


「さ、ミルちゃん行きましょー。あー可愛いね」


突然言われたことに呆然としてしまった。何が可愛いんだろう…。

可愛さで言えば、早希ちゃんの方が可愛いと思うのだけれど。


早希ちゃん何も言わずにそのまま階段を上って行ってしまった。


「あ、そういえばパンだけだから、食器使ってないんだった」


ちょっと抜けているひよりちゃんでした。





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