第2話 ラジオから流れた音楽
中学に上がり修学旅行に行くとバス内のリクレーションが苦痛でした。だいたいカラオケ。歌える歌はない……
歌わないと「ノリが悪い」と目の敵にされる苦痛。友達とかろうじて知っている歌で乗り切りましたが辛いことこの上なし。歌詞カード見て下向くと酔うし。
これは自己防衛のためにも何か【恥ずかしくない】歌を覚えなければーー!
紅白やレコード大賞は年に1回だけだし、日々の中で頼りにしたのが長寿番組の一つ、ミュージックステーションでした。
しかし放送見ただけで覚えられるわけありません。ビデオに録ります。それで見たい人だけ再生します。苦肉の策です。お小遣いも少額ですからCDはぽいぽい買えません。テレビ版サイズに短縮されていようが関係ありません、カセットテープに録音作戦です。
……疲れた……
これカッコいい!と好きになった曲ももちろんありました。なんか今風の中学生になれた気もしました。様々なアーティストも知れました。
しかしこんなことを続けていると、強制されているようでなんか違う……。
そして、あるラジオ番組に行きつきます。主に冬~春(野球中継の無い時期)に放送されていた「松宮和彦の夜はこれから」。
お題に沿ったリクエストをリスナーが寄せ、それを流すという形式です。その曲の選出は新旧取り混ぜた幅広いもの。
例えば「タイトルに数字の入っている曲」でお題が出されれば、山口百恵さんの「プレイバックパート2」、classさんの「夏の日の1993」など、昭和平成の曲が同じ番組内でかかるわけですよ。
百恵さんの歌はよくテレビで流れて耳にしていたので馴染みよく、classさんは当時でいえば新しい曲。
古いものからの発掘と、ここ数年の曲の入れ混ざりが面白くて「良いの見つけた!」と嬉しくなりました。また松宮さんの軽快な曲紹介と喋りが心地よかったんだよなあ。
しかしせっかく見つけた番組なのに、これもまた習い事で聞く時間がとれないことがあり、出来るだけ長い時間のカセットテープをセットし録音かけっぱなしにして出て行って帰宅したら番組途中で片面が終わっていたとか虚しいことが多々ありました。
この番組は2~3年聴いたでしょうか、あるとき突然番組は終了することになりました。TBS側と何やらあったとかで…。凄く残念でした。
さらにその数年後松宮さんが自殺。もうあの声と喋り自体、聴くことが出来なくなってしまいました。
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