白いワンピースの少女と人食い魚人

上伊由毘男

一週目

 この個人病院でもう数日を過ごしているだろうか。

 小さな小さな島の病院のベッドで倉井政俊は上半身を起こした。

 それに気づいた少女が、笑顔で寄ってくる。


「起きた?……ふふ」


 この、前開きの白いワンピースを着た夏愛なつえという少女は、よく笑う。


「何か食べる?」


 夏愛は、政俊が名前を知らない南国風のフルーツの皮を向き、果物ナイフで食べやすいサイズに切った。


「はい、あーん」


 政俊は、夏愛にすっかり病人扱いされていた。

 実際、病院のベッドで寝て生活をしてるのだから、病人には違いないのだが。

 この病院で、この生活をして、一週間くらい経っていただろうか。

 政俊は、この、中学生にも高校生にも見える夏愛がそばにいてくれる生活に、やすらぎを覚えていた。

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