第2話
「それでは、今日も元気に、行ってらっしゃーい!」
ラジオから流れるいつもの音声。
今日は少し憂鬱。一年前、私が彼氏と旅行に出かけている間に実家が全焼した。今日はその家族の命日。当時の彼氏とはそれが原因で別れた。
「サユ、もう考えないの。お母さんたちには笑顔を見せるんでしょ。もう一人じゃないんだからさ、元気だしてよ。」
今は新しくできた彼氏と一緒に住んでいる。事情もわかってくれて、とっても優しい彼氏。結婚の約束もしている。
「うん、ごめんね、ありがとう。リクと一緒でよかった。ありがとう。」
「泣くなって。せっかくきれいに化粧したんだから。泣かないで。今日は帰ってきたらゆっくりしよ?」
私たちは出かけて、お墓では母とゆっくり話をした。今は元気にしていること、来年結婚すること。積もる話はあったが直接話せないことでどんどん辛くなってしまった。彼はゆっくり話しておいでと言ってくれたが、もう十分だ。
「帰ろ。」
「もういいの?」
「うん。ありがと。」
そして私たちは帰宅し、まだ夜はこれから、というところだったが、どっと疲れが襲ってきたので寝ることにした。
20時ごろ、目が覚めてしまった私はふらっとコンビニに出かけた。私の分と彼の分のアイスと明日の朝ごはんを買って店を出ると外が騒がしく近くで火事が起きているみたいだった。野次馬根性で近づいたそこは紛れもなく私の家だった。私は膝から崩れ落ち、気を失った。
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