第11章:再会
第1話:突入
体長1ミャートルほどある機械仕掛けの蟻たちが次々とナナ=ビュランたちに襲い掛かる。ナナ=ビュランたちはそれぞれに武器を手に取り、自分たちに向かってくる敵を切り倒していく。
「はあはあ……。今、何匹斬ったっけ……」
「ウッス……。少なくとも20匹くらいは斬り倒しているはずッス。しっかし、これ、どうするッスか? 神殿の中に入れないッスよ?」
「さすが賊の本拠地なんだみゃー。倒しても倒しても地の底から湧いて出てきて、神殿の入り口を塞いじゃうんだみゃー」
ナナ=ビュランたちが息を乱しながら話し合う。彼女らはラッシャー神殿とマスク・ド・タイラーが呼ぶ建造物に侵入しようと試みていた。しかし、その神殿の守りは強固であり、戦闘が開始されてから30分以上経過しているというのに、突破できないでいた。
蟻たち一匹一匹の戦闘力はそれほど高くないのだが、それでも数は力であり、ナナ=ビュランたちは徐々に体力を削られつつあったのである。
「ここは出し惜しみをしている場合ではないなっ! ナナくん、シャトゥくん、そしてネーコくん。わたしがあの群れに大穴を開けるから、少し下がっていてくれたまえっ!」
マスク・ド・タイラーがそう言うと、
そして、マスク・ド・タイラーはその場で
「
マスク・ド・タイラーの手に持つ
「
連続で起きる爆発により、砂塵が勢いよく舞い上がる。舞い上がった砂塵は次の爆発系魔術により吹っ飛ばされる。それを何度も繰り返し、ついにはラッシャー神殿への入り口に大穴が空くのであった。
「行くわよっ! タイラーが開いてくれた道をっ!」
「ウッス! ネーコさん、遅れずについてくるッス!」
「結局、良いところをタイラー殿に取られちゃったんだみゃー。まあ、能ある鷹は爪を隠すんだみゃー。よっし、突っ込むみゃー!」
ナナ=ビュランたち3人は開けた入り口に向かって走り出す。マスク・ド・タイラーが右腕を大きく下から上へと振り上げて、こっちに来いと所作を送ってきてくれている。彼の下へと3人は一直線に石段を駆け上がっていく。
その時であった。元の位置に戻ろうとしていた蟻数匹がナナ=ビュランをついでに襲い掛かろうとしていたのである。ナナ=ビュランはそれには気付いていたが、今は走ることを優先し、少しくらい身体を傷つけられようが構わないと思うのであった。
「ナナちゃん、危ないんだよー!」
ナナ=ビュランに襲いかかろうとしていた蟻数匹がいきなり直径50センチュミャートルはあろうかという砂で出来た柱に飲み込まれてしまうのであった。それを放ったのは砂クジラのシャールであった。シャールは体内に残っていた砂を口から勢いよく吐き出し、ナナ=ビュランに迫っていた蟻たちにぶつけたのである。
「シャール! やるじゃないのっ! 戻ってこれたら、ご褒美をあげるわっ!」
「ホエホエー。楽しみに待っているんだよー! だから、生きて戻ってくるだよー!」
ナナ=ビュランは走りながら、ちらりと砂クジラのシャールの方を振り向き、そして、ウインクを飛ばす。しかし、それ以上は何もしない。またもや前へ向き直し、石段を上り続ける。マスク・ド・タイラーが空けてくれた穴は徐々に蟻たちにより閉まりかけていたのである。
「急ぎたまえっ! 入り口が閉じてしまうぞっ!」
「わかっているよわっ! そんなに怒鳴らないでよっ!」
マスク・ド・タイラーが焦りながら、ナナ=ビュランたちに声をかける。マスク・ド・タイラーは黒いパンツの中から武器を取り出す時間も惜しいとばかりに入り口を塞ごうとしている蟻たちに、入口の内側から蹴りを散々に繰り出していた。しかし、マスク・ド・タイラーの蹴りの数よりも蟻の数のほうが圧倒的に多かった。徐々に蟻たちが入り口を塞ぎ、ついにはナナ=ビュランたちが通れないほどに入口は狭まってしまったのであった。
「
ナナ=ビュランの横を走るシャトゥ=ツナーの身体全体が光に包まれる。ナナ=ビュランはいきなり
「『
シャトゥ=ツナーを中心に爆発的な光が発せられる。それと同時に穴を塞ぎつつあった蟻たち全てが勢いよく四方八方へと吹っ飛ばされることとなる。しかも、蟻たちの身体は金属製のゼンマイや歯車、そして黒い体液をまき散らしながらバラバラになってしまうのであった。
入口が再び開けたことにより、ナナ=ビュランとネーコ=オッスゥはその中へと入り込むことに成功するのであった。
「
ナナ=ビュランたちが入口に達したと同時に、マスク・ド・タイラーが両手に持つ
「よーーーし! これで蟻たちは後を追ってこれなくなったぞっ! 第1関門は突破と言ったところだろうっ!」
「確かにこれで蟻たちが僕たちの後を追ってこないけど、僕たち、帰りはどうするみゃー?」
「帰りのことは後で考えましょ? それよりも先へ進むわよっ! シャトゥ! 倒れてる暇なんてないわよっ! 立ちなさいっ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます