冒険記録35 次の場所へ
そうこう話しているうちに港に着いた。そこにいた者達は涙を流して歓喜していた。怪我はしているものの無事戻ってきた、と。指示していたヨシュアのお陰だと漁師たちは言っていたのを聞き、胴上げでもしそうな喜び方だったが、彼は全力で拒否していた。男に群がられるのは戦闘の時で充分だ、と
その中からリーダー格がヨシュアに近づいてくる。その手にはジャラジャラとお金が擦れ合う音が聞こえる。
「言っていた金貨1枚と銀貨150枚だ」
「しかと受け取った」
小袋の中身を確認し、アルヴァーノが背負っている鞄の中に入れた。
「最後言い忘れていたことあったな」
「まさか、プラスで……!」
「取らんよ。衝角の出来はどうだろかとな」
舟を出す前に造船所で作れと言っていたものを確認するために、ヨシュアは造船所に向かう。そこでは今も船の製作と、衝角を作っている最中だった。ヨシュアを見つけた設計士が小走りで近づいてくる。まだ骨組みの段階だったが、これから木を張っていくところだという。
「なるべく空洞は作るなよ。だが、入れ過ぎても前かがみになって舟が沈む。加減は難しいだろうが、そこはお前さんたちに任せる」
「は、はい」
設計士から歩きながら説明を受け、木の枠だけになっている衝角を見上げて触れていた。設計士にどんな木を使っているかとヨシュアは聞き、加工は簡単、でも強度はある木を使っているという。
「それなら問題はなさそうだな」
造船所から出たヨシュアは、アルヴァーノを撫で、その背に乗った。
「ではな。それの設計者はお前さんにしといてくれ。そういうので私は名を残したくないからな」
「えっ……」
呆然とする設計士をその場に残し、ヨシュア達は港を離れていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます