第81話
私のために殉死などさせない!
私も皆も一緒に生き残る!
出来る事なら魔虎も殺したくない!
強く、強く、心から強く、嘘偽りなく願ったのがよかったのかもしれません。
何かと絆を結べた気がしました!
その瞬間、オーロラとノームは精霊力が底をついたのでしょう。
オーロラがガクリと音がするような動きで膝をつきました。
土鎖が消滅し、魔虎の動きが一気に早く力強くなりました。
今まで以上に強い力で戦闘侍女が叩き飛ばされてしまいました。
一瞬致命傷なのかと思いましたが、一緒に叩き飛ばされても軽傷だった者が駆けつけ、回復薬を飲ませてくれています。
(魔虎を拘束して!)
私の心からの願いは、新たに絆を結んだ精霊が叶えてくれました!
一目でオーロラとノームが創り出した土錠以上の硬さだと分かります。
厚みも幅も段違いなのです。
土の鎖ではなく、鉄のような板が魔虎の四肢を拘束しています。
四肢を拘束された魔虎は、歩くこともできず、体幹を使って跳ねまわっています。
それがせめてもの抵抗なのでしょう。
(この程度でいいのか?
なんなら大地に引きずり込んでひねりつぶしてやろうか?)
いきなりの強気発言です。
圧倒的な力を感じます。
オーロラのノームとは比較にならない圧があります。
上位精霊なのか?
それとも大人のノームにはこれくらいの力があるのでしょうか?
(最初に御礼を言わせてください。
ありがとうございます。
とても助かりました。
御助力頂けなかったら、私も皆も喰い殺されていました。
ですが、そこまでしていただかなくて大丈夫です。
ここは元々この子の縄張りだったのでしょ?
そこに入り込んだのは私達です。
襲われて仕方なく逃げ込んだとはいえ、大切な縄張りを火で焼いてしまった責任の一端は私達にもあります。
殺さずに逃がしてあげたいと思います)
(ふむ?
本当によいのか?
先ほどは絆を結びたいと願っていたのではないか?)
(はい、確かに先ほどは絆を結ぶ事を願いました。
ですが私にはその力がありませんでした。
残念ですが、力不足では仕方ありません)
(確かにさっきのお前では力不足であっただろう。
だが今なら、僅かとはいえ余と繋がりを持った。
余の主人とは言えないが、縁はできた。
一度は余の力を振るったのだ。
今のお前ならば魔虎程度なら絆を結べるだろう。
ふむ。
だが安全策を取る方がよいな。
せっかく助けた者達が、余の助言が元で死んでしまっては嫌だからな。
余の気配を纏っている今の内に、ノームと絆を結ぶがよい)
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