第46話リリアン視点
王太子の糞野郎がまたやらかしてくれました。
普段は温厚なディラン様も御怒りのようです。
昔から王太子にはご思慮に欠けた所がございました。
王太子として為すべき事よりも劣情を優先する、色に濃い面がありました。
そのため、正式な結婚前に間違いが起こらないように、私以下の戦闘侍女達は常に緊張していました。
ようやく婚約を解消できたというのに、身勝手にもまた婚約者候補に入れるとは!
またしても刺客に狙われる日々となってしまいました!
御嬢様の命を蔑ろにするにも程があります!
まだ決定が領地に戻った後でよかったです。
これが旅の途中だったら、刺客が雲霞の如く押し寄せてきたでしょう。
そうなっていたら、御嬢様を護り切れたか微妙な所です。
「リリアン殿。
父から魔獣肉が届いております。
毒見をして頂きたいのだが?」
「ありがとうございます、メイソン殿。
ルーカス様の御厚情、痛み入ります」
ルーカス様はさすがに痒い所に手が届きます。
デビルイン城に魔獣肉を蓄えていて欲しいと伝書鳩を送っただけで、理由も問わずに、デビルイン城に向かう我らの宿泊予定地に魔獣肉を届けてくださる。
これで新鮮な魔獣肉をムク達に与える事ができます。
少しでも早く銀狼達が魔獣化してくれれば、強大な守護戦力が加わり、御嬢様が生き延びる確率が高くなります。
領地に残る戦闘侍女と見習いに銀狼を預ける事ができれば、御嬢様は不死に近い存在となられます。
「リリアン。
戦闘侍女達に交代で里帰りをさせてあげたいのですが、問題はありませんか?」
御嬢様が私達に気を使って下さっています。
確かに里帰りは私も考えていました。
ディラン様からの伝書鳩が届くまでは、シーモア城に戻ったら、戦闘侍女達の半数に休暇を与え、里帰りさせるようと考えていました。
ですが、これから多くの刺客が送り込まれてくるのが分かっていて、御嬢様の護りを薄くするわけには参りません。
「リリアン。
貴女が私を大切に思ってくれているのは重々承知しています。
ですが、戦闘侍女達も人間です。
リリアンもそうです。
領地に戻った時くらい、一息つかねば身体が持たないのではありませんか?
休む事も、私を完全に護る為には必要なのではありませんか?」
確かに御嬢様がおっしゃることにも一理あります。
長期間の緊張状態は戦闘力を低下させてしまいます。
領内に入れる刺客の数は、王都に留まっていた時よりは遥かに少ないでしょう。
特にルーカス様が指揮を執られるデビルイン城ならば、安全性は高いです。
側仕えと魔境の狩りに戦闘侍女は必要ですが、男性騎士はもちろん、猟師や冒険者に代わってもらえる役目も多くなるでしょう。
「分かりました。
交代で里帰りができるように考えます」
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