おなじ話 - ハンバートハンバート
ハンバートハンバートはご存知でしょうか。
ハンバートハンバートが好き! と開口一番に言う人に僕は出会ったことがありません。友達とのカラオケでも歌っている奴を見たことありません。
が、「アセロラ体操のうた」と言えば、微かな記憶がよみがえるでしょうか。
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たたたた たいよう 楽しくいたいよう
ビタビタしたら ミンミンするよ
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2010~2012年にかけて放送されていたアセロラドリンクのCM曲です。仲里依紗や光浦靖子がコミカルな踊りを踊っていてブレイクしましたね。
知っている人は懐かしいと思います。
知らない人は検索してみてください。
その曲を歌っているのがハンバートハンバート。ご夫婦で組まれているフォークデュオです。奥様の高い透明な声と、奥様をしっかりと支える旦那様のかーんとした声。それらが混ざり合って素晴らしい物語を二人で紡いでいきます。
本日ご紹介する曲、「おなじ話」は可愛らしい童話のような歌です。
イントロから流れる
素敵な物語を予感させます。
この曲で特徴的なのは会話のように交互に歌われる構成。
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どこにいるの? 君のそばにいるよ
何を見てるの? 君のこと見てるよ
どこへ行くの? どこへも行かないよ
…… ずっとそばにいるよ
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歌の中で会話が進んでいきます。
とても微笑ましいですね。
ですが、時々、ふとどちらかの沈黙が入るのです。
どうしてでしょうか。
仲の良い夫婦のつかの間の沈黙。
二人の心地よい距離感の表れ。
……だったら良かったんですけどね。
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それから 君は僕を見つめ
それから 泣きながらわらった
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泣きながらわらった。
突如出てくる涙。
僕は大いに困惑しました。
「何があったのだろう」なんて。
繰り返される歌詞。
泣きながらわらった。
僕は何度かこの曲を聞いて、当初に抱いた「陽だまりの窓辺で向かい合って
すると、曲の表情が一変しました。
ふと入る沈黙が何を意味しているのかを。
惚気のように見えた会話は会話だったのかを。
どこにいるの?
そう訊いた、本当の意味を。
曲の終わりはタイトルで締められます。
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さようなら ゆうべ夢をみたよ
さようなら いつもおなじ話
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おなじ話の意味に辿り着いた時、どうしようもなく胸が締め付けられました。綺麗で、完成されていて、変わりようのない二人の関係に。
そよ風が吹くように、ギターの音色がぽろぽろと零れていきます。
二人の思い出を、何度も繰り返すように。
どうしても、いつも、おなじ話をしてしまうのです。
おなじ話 / ハンバートハンバート
https://open.spotify.com/track/1c0Ybe1LAysxw9lN0ogcEH?si=PFKPOmZ_SnKa2HJceXlumA
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