第15話 共同作業
妻が寝室に行った後。
もう面倒くさいから本当に猫を連れて出て行こうかと思ってみたが、猫を連れて泊まれるところなど思い浮かばない。
とりあえず、物置部屋に猫を連れて行き、ため息をつくが、寝室から聞こえる激しい赤ん坊の泣き声が気になり、ちょっと、寝室をのぞいて見ることにした。
寝室をのぞくと、「静かにして、、しー、しー、」「どうしたのかな〜」と困り果てて赤ん坊をのぞきながらうろうろしている妻がいた。
臭う。
オレの寝室が、えらい臭い。
「ぉぃ、 それ、そのコ、ウンチしたんじゃないのか?」
「…、ウンチ?」
「この臭い、そうだろう」
「え?、わかるの? わたし、わかんない、どうすればいいの?」
「オムツ、変えたらいいんじゃないの?」
「オムツ? ああそうか。買ってきたんだった」
「これ、どうやるんだろう」
「え? おまえ、聞かなかったの?」
「タクシーの運転手さん、それは教えてくんなかったもん。」
「タクシーの? その人の子なのか?」
「んなわけないじゃん。何言ってんの。とにかく、わたし、調べるから、手を貸してよ」
妻はスマホで、何やら調べはじめた。
「え〜、それは無いや。ウエットティッシュでいいか。」
「何?何?」
「猫、オムツ、でググったんだけど、替え方がなかなかわからないのよ。だいたいオムツなんて、人間のやり方とそう変わらないでしょ」
「ぇ? 人間のやり方ならおまえできるの?」
「だから、私が説明するから、とりあえず、あんたやってみてよ」
「え〜〜〜、オレがぁ〜?」
「だって、あんた、猫飼ってたことあるじゃない」
いやいや、猫飼ってた事あるけどさ、オムツなんてしてなかったし、だいたい、これ、猫じゃねえし。人間の赤ん坊だし。
って言いたいところをぐっとこらえて。
「わかった。やってみる」
だってしょうがないじゃん。
こうなったらやるしかないでしょ。
オレの寝室はこのままじゃあの臭いがついちゃいそうだし。
赤ん坊も泣き止まないし。
あのままじゃ、抱いてあやすのも無理。
あ〜あ、神様。
本当に、意味がわかんないっす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます