第15話 全てが消えた世界
世界から全てが消えた。
その原因は世界戦争でも世界的なウイルスの伝染病でもなかった。
なぜなら僕の全ては、君だったから。
僕の名前は、大神アース。
普通の高校1年生。
趣味はバンド活動。
朝、起きてシャワーを浴びようとする。
「キャー! 変態!」
先にシャワー室に女の子がいた。
「ち、違う!? 事故だ!? 事故!?」
偶然の事故で僕は覗きの変態扱いをされる。
「出ていけ! お兄ちゃんなんか消え失せろ!」
彼女の名前は大神アリア。
「ご、ごめんなさい!?」
僕の同い年の妹である。
僕たち兄弟には血のつながりはない。
僕の父、慎太郎と彼女の母、ヒバリが再婚した。
両親は世界的に有名なマジシャンで職場で知り合ったらしい。
そして僕とアリアは兄弟になった。
僕はアリアのことが好き。
僕は妹のことが好き。
僕の世界はアリアが全てだった。
あの日が来るまでは・・・・・・。
「え? アリアが死んだ? 冗談だろ? 何を言っているんだよ!? 嘘だー!」
アリアが死んだ。
歩きスマホをしていて、電信柱にぶつかって体が粉々に飛び散ったという。
妹の遺体すら回収できなかった。
僕の世界の全てを失った。
「アリアがいない・・・・・・。」
僕は無気力に渋谷の街を歩く。
「占いの館?」
なぜか占いの館に体が引っぱられる入る。
「ようこそ! 占いの館! 邪神マリアへ!」
怪しい女の占い師がいた。
「間違いました。」
僕は占いの館から去ろうとした。
「妹を生き返らせたいと思わないのか?」
ピタッと占い師の言葉に僕の体は反応して止まった。
「全てを失った世界で一人で生きていくのは悲しいぞ。」
「なぜ!? それを!? 知っている!?」
僕は占い師に食って掛かった。
「当たり前だろ? だって私は占い師だから。アハッ!」
自身満々の占い師。
「教えてくれ! 妹を生き返らせる方法を!」
占い師はマネキンの様な人型の人形を見せる。
「これは生き返りの人形だ。おまえが妹のバラバラにされた肉体を取り戻せば、おまえの妹は生き返ることができる。」
占い師は妹を生き返らせる方法を教えてくれる。
「肉体を取り戻す?」
僕には理解できないワードがあった。
「おまえの妹は呪い殺されたんだよ。だから呪いの電信柱にぶつかって体が引き裂かれたんだ。」
「なんだって!? 呪い!?」
妹の死因は、呪いだった。
「おまえの妹は母親のヒバリが魔女の血を引いていて、魔女にかけられた呪いも引き継がれてしまった。」
妹は魔女の血を引いていた。
「そういえば!? アリアはドジっ子で不幸なことが多かったような!?」
電信柱にぶつかる以外にも、落とし穴に落ちたり、買い出しに行けば店が閉まっていたりと不幸に呪われていた。
「おまえの妹を呪い引き裂いた者たちの名は、心無。心の無い者たちだ。」
「心無!?」
「人間であって、人間の心を無くした者たち。生きてはいるが魑魅魍魎と変わらんよ。おまえは心無と戦って、妹の体を集めなければならない。」
妹を引き裂いた呪いの正体は、心無。
「そんな化け物とどうやって戦えばいいんだ!?」
あまりにも突然な話に動揺する僕。
「大丈夫。諦めるな。おまえも父親と同じく神の血を引き継いでいる。」
「神の血? いったい何を言っているんだ?」
「おまえの父親は神の血を引いている一族だ。おまえの父親はマジシャンと言われているが、本当は違う。あれはマジックではなく、神通力。超能力だ!」
「超能力!?」
マジシャンと思っていた父親の慎太郎は、神の血を引く超能力者だった。
「そして、おまえはその一族の末裔。その血はおまえの体に流れている。おまえも使えるはずだ。超能力が。」
「僕も父さんみたいにマジックが、超能力が使えるというのか!? 僕が呪われた心無と戦うというのか!?」
今までに超能力を使ったことはない。
「怖いなら妹を生き返らせるのを諦めろ。死んだら天国で会えるだろうよ。」
占い師はけしかける様に冷たく言い放つ。
「・・・・・・僕は戦う。僕は全てを取り戻す!」
僕の全てはアリアだから。
僕の世界はアリアが全て。
アリアのいない世界で生きていても意味がない。
僕は諦めて心を無くして心無として生きるよりも、アリアを生き返らせることを選んだ。
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