第4話 夢のコロナ
「真理亜ちゃん、真理亜ちゃん。起きて。真理亜ちゃん。」
誰かが寝ている真理亜を起こそうとする。
「う・・・・・・んん・・・・・・楓・・・・・・もう少し寝かせて。」
二度寝を希望する真理亜。
「ええー!? 起きてよ!? 寝たら死んじゃうよ!?」
「ここは雪山か!?」
「あ、起きた。」
「しまった!? つい体が反応してしまった!? アハッ!」
これも有効な寝る子の起こし方である。
「あなた誰?」
真理亜の目の前に見たこともないカワイイ女の子がいたので尋ねてみた。
「初めましてー! コロナちゃんですー!」
「コロナちゃん?」
「そう、私は新型コロナウイルスのコロナちゃん。アハッ!」
現れた女の子の正体は、新型コロナウイルスが擬人化した女の子だった。
「は・・・・・・はは・・・・・・私、死んだのね。」
「うんうん、生きてるよ。」
「ウイルスが喋ってる・・・・・・しかも人間の姿をしているなんて・・・・・・はは・・・・・・これは夢だ・・・・・・本当の私は暖かい布団で寝てるんだ。」
「大正解! ここは真理亜ちゃんの夢の中よ。」
「やったー! 大当たり! アハッ!」
妹の楓を助けて眠り込んだ真理亜の夢の中であった。
「しまった!? またのってしまった!? 私のバカバカ。」
自分の性格を後悔する真理亜。
「じゃあ、そろそろ目覚めるんで、バイバイ。」
手を振って立ち去ろうとする真理亜。
「待たんかい! 私を擬人化させた責任を取らんかいー!!!」
「ギャア!? アベシ!?」
コロナちゃん怒りの鉄拳パンチで真理亜を取り押さえる。
「痛い!? 離しなさいよ!? 私が何をしたっていうのよ!?」
「あなたが妹を助けたいという姉妹愛の思いが、ウイルスの私に感動を与え、私を突然変異させたのよ! だから楓ちゃんも助かったし、真理亜ちゃん、あなたも生きてるのよ!」
「確かに私に責任がありますな。アハッ!」
「受け入れ、早。」
真理亜の楓を救いたい思いはウイルスを感動させていた。そして奇跡が起こり姉妹共に生き残ることが出来たのであった。
「あ、楓ちゃんが呼んでいるわ。真理亜ちゃん、また夢で逢いましょう。バイバイ。アハッ!」
こうして真理亜は夢の中のコロナちゃんと別れた。
「う・・・・・・うう・・・・・・なんだか寝心地の悪い夢だったな。」
真理亜は悪夢から目を覚ました。
「お姉ちゃん! 真理亜お姉ちゃん!」
泣きじゃくっている妹の楓が姉が目覚めて良かったと抱き着いてくる。
「楓。お姉ちゃんは生きてるよ。ずっと楓の側にいるからね。」
姉妹は強く抱き合い自分と大切な人が生きていることを実感するのであった。
つづく。
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