受験とは未来の構図

@Kanmi_Kingu

来年受験生 青山大輝

皆さんは受験というものを知っているだろうか。

試験の事、主に中学受験、高校受験、大学受験 などの入学試験のことを受験という。

そして受験というものは人生の大きな分岐点であるということは言うまでもないであろう。

その大きな受験(大学受験)を来年に控えている1人の高校生がいる。名前は青山大輝(2年生)、都内の有名国立大学を目指している。偏差値は66 高い偏差値の大学である、そして大輝の通っている高校は偏差値50の高校である。

そう大輝の通っている高校はとても偏差値66の大学に行く生徒が通っている高校ではないのである。そこに通っている大輝も校内成績では中の上くらいであるが、当然偏差値66の大学に行けるとは周りの皆誰1人として思っていない。

大輝の通っている高校は普通科だがほぼ就職で進学するのはトップクラスの人間だけである。

しかし彼が偏差値66の有名国立大学に進学したいのには理由がある。

彼の実家は香川県の山々に囲まれた所にある、そして家族は母と妹の3人家族である。父親は大輝が5歳の時に交通事故により他界した。そのため5歳以降は母が女手一つで育ててくれたのである。大輝はその母に少しでも楽になって欲しいと思い、都内の有名大学に合格し立派な社会人になって恩返ししたいと中学3年生の時に思ったのである。

そのため大輝は中学3年生の時に地元香川県の高校を受験するのではなく都内の高校に受験をしたのである。

理由はさまざまあるが理由の1つは立地である、大輝の住んでいた香川県は有名大学に行く生徒が通っている高校はあるのだが、大輝はその高校に入る為の頭脳を持ち合わせていない。そのため大輝は自分が入れそうな偏差値くらいの高校を受験しようと思ったのだが、高校に受かった後の事を考えると香川県外の方が良いのではないか? と大輝は考えた。

そして何よりの理由は一人暮らしをしたいと言う事だ。もちろん年頃なので一人暮らしをして母のいない所で生活したいというのも理由にはあるが、それ以上に母に負担をかけさせたくないというのが一番の理由である。 高校生となれば自分の事は自分でするようになるはずだが、やはり家事、洗濯、掃除など母に頼ってしまう部分が出てきてしまう。

しかし一人暮らしをすると当然だがそのような部分も自分でする事になり母にはほとんど負担をかけさせないように出来ると思い香川県から遠く離れた都内の公立高校を受験したのである。

公立高校は普通、都道府県内の高校生が入学するのが基本だが、大輝の受験した高校は都外の生徒でも入学出来る高校だったため、受験する事が出来たのである。そして見事都内の高校に進学する事が出来たのである。

そして今はアルバイトを掛け持ちして母からの仕送りを最小限にして生活をしている。



12月22日

「ん?も…もうこんな時間…か!!!!」

時計は8時を示している。

「やばいやばいやばいやばい」

そう言いながら大輝は布団を体から引っ剥がすように布団から出て、急いで台所にあるメロンパンを手に取り、袋を破る。そしてメロンパンを食べながら急いで制服に着替え、髪を整える。

「あぁそういえば今日って終業式だったな。」そう思った瞬間1つの事が頭をよぎる。「やばいやばいやばい反省文!反省文だ!!」

大輝の通っている高校は終業式などの式の日に学校を遅れると反省文を書く事になっている。しかも800字詰め。反省文を書くのが大変な上に反省文を書くと大学受験をする時に大学に提出する履歴書にも影響する。

「急げ急げ急げー!」そう言いながら家を飛び出した。

そして自転車に乗り、一目散に学校に向かった。学校に着き、教室に入り時計を見ると8時58分。

「ななんとか間に合ったな」

椅子に座り一息入れたと同時にチャイムがなる。時計の針は9時を示していた。

先生が教室に入り「今日は二学期の終業式だ。全員来ているな。」教室の席には全員が席に着いていた。

「良し全員揃っているな、今日は終業式だけだが、終業式も大切な式だ。くれぐれも寝ないように。では、ネクタイを着けて体育館に集合だ。では解散」

「うわぁぁぁぁぁぁ ネクタイ忘れた…」大輝は心の中で叫んだのである。(反省文1枚。400字詰め)

「どうした大輝元気無いな。」

1人の男が話かけてきた。名前は若宮京介、高校1年生の時から同じクラスで俺の友人だ。

「あぁ今日起きたら8時で何とか遅刻せずに来たというのにネクタイを忘れた…。」

「 あぁ、そういうこと。大輝は寝坊する事が多いからなー。でもよりによって式のある日に寝坊するのは不運だなー。」

京介が苦笑いしながら大輝に言う。

「京介もそう思うよな。今日!今日で無ければ反省文を書かなくて済んだのに…」

大輝は少し落ち込んだ様子で京介に言う。


終業式が終わり、大輝は誰もいない教室で1人反省文を書いていた。「はぁ書く事無いな…。」そう言いながら1人反省文と睨み合っていた。


「やっと終わったー!!!!」誰もいない教室に大輝の声が響く。時計は2時を示している。反省文を無事書き終えた大輝は反省文を先生に提出し、自転車置き場に向かう。大輝は部活をしていない、帰宅部! であるため学校が終わった後は基本的に家に帰り、アルバイトに向かうという生活を送っている。


自転車置き場に行き自転車を取った後、猛スピードで家に向かいアルバイトの時間まで家でライトノベルを読んでいた。大輝の家は1LDKのアパートの2階に住んでいる。今日のアルバイト先は大手チェーン店の寿司屋である。

「お、もう5時か」 大輝の家からアルバイト先まで20分ぐらいかかり、5時30分からアルバイトなためいつも5時5分頃に家を出ているのである。 大輝は急いで準備をし、アルバイト先へと自転車を進める。


「はぁ今日も疲れたー」そう言いながら大輝は布団へと寝転がる。時刻は8時50分頃である。

部屋着に着替えて夕食、入浴を済ませ机に座る。

「よし、今日も始めるか! 」大輝はそう言いスマホを使い電話をかけ始めた。

「もしもし、では始めますかー。」電話の相手は京介であった。京介は都内にある実家で住んでおり勉強は大輝よりも出来て、学年の中でもトップクラスである。そのため大輝は京介の時間が空いている時にほぼ毎日勉強を教えてもらっているのである。


「よし、今日はこのくらいにするか。」京介が言った直後 「あぁそうだな。今日も疲れたー」と大輝がため息をつきながら言う。

「今日もお疲れ様。そういえば明後日って予定あるか? 予定ないなら勉強の息抜きに映画でも見に行くか?」と京介が大輝に問いかける。

「おぉそうだな! 行こう! 」大輝は楽しみそうに言う。

「了解、また何の映画を見るかは当日決めようぜ。」

「見る映画が決まらなかったら『俺たちの街』の映画を見ようー。」

「大輝が前に言ってたアニメか、そういえばあれ映画してたな。了解、じゃあまた明日な。」

「あぁじゃあまた明日。」そう言って大輝は電話を切った。 「俺たちの街」は大輝が見ていたライトノベルでそれがアニメ化、そしてすぐに映画化した大ヒット作品だ。 京介はもともとライトノベルやアニメはあまり見ていなかったが、大輝の勧めにより少しずつライトノベルやアニメを見始めている。「俺たちの街」はまだ見ていなかったが、京介は映画から入ってもいいなと思っていた。


12月23日午前9時

「はぁ〜、やっぱり冬休みは最高だなー。朝早起きしなくてもいいし、ライトノベルもゆっくり読める。」そう言いながら大輝は普段の休日のようにダラダラ過ごしている。

時計が10時を示している。「そろそろ準備をして行くかー。」そう言って大輝は準備を始めた。 そう塾に行くための準備だ。大輝は休日は基本的に塾に通っている。もちろん大学進学の為である。


大輝は準備をして家を出た。自転車を走らせていると周りにはイルミネーションなど今夜のクリスマスイブのための準備が行われていた。大輝はそれを見ながら「今年もこの時期が来たか。」とため息を漏らしながら自転車を進める。それもそのはず大輝は 彼女いない歴=年齢…。である。

家出発から20分経ち塾に着いた。「今日の授業は数学、化学、英語だな。」そう言いながら教室に向かい自分の席に座る。授業を受けるための準備をしているといつもは空席の大輝の前の席に1人の少女が座っていた。

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