一家で異世界転移したと思ったら俺だけインコになってるし…。 チートなインコは史上最強で娘の頭の上から世界を救う。
EMO
プロローグ
第1話 イ…インコ?
…パパァーッ!ママァーッ!
パパァーッ!ママァーッ!
どこぉーっ!
ひっぐ…ひっぐっ!
パパァーッ!ママァーッ!
えっぐっ…えっぐっ…
…
「パパァーッ!ママァーッ!
えっぐっ…えっぐっ…えっぐっ…」
…はっ!
萌美っ!恵子っ!
二人を守らなきゃっ!
ここは…どこだ?
周りを見渡すと声の聞こえる萌美が居ない…。
四方を鉄の棒の様な物で囲われ大きな檻の中のようだ…上方に小屋の様な物がある。
小屋にはドアは無く屋根付近に丸い穴が開いているだけ…俺の身体なら中に入れそうな穴だ。
……っ!
いきなり周りが薄暗くなった…何かに光が遮られた…?
…ぬっと…そう…ぬっと、巨大な顔が現れた…俺のいる檻を上から覗くように…。
「ピーちゃん…パパとママが居なくなっちゃった…どうしよう…」
巨大な顔が俺に向かって喋り掛けている…。
ピーちゃん?誰だ?
バッサバッサ…羽音が聞こえる…。
すると…俺の横に巨大な鳥が降りてきた…俺と同じくらいの巨大な鳥だ…全身が真っ黄色でクチバシがピンク色をして目がクリックリした巨大なインコみたいな鳥だ…。
身長百八十ある俺と同じくらいの大きさの鳥なんか俺は知らない…。
俺は隣に居る鳥をマジマジと見る…不思議と恐怖心は無い…
ピピッピッ!
巨大な鳥が可愛く鳴く…。
ふふっ可愛いな…
『ピピピッ…(おい…)』
はい?
『ピャピピッ?(今なんて言った?)』
いや、いや…俺…喋れ無いの?
『ピピッ?ピッピ!ピッ!(どうなってんだ?萌美っ!恵子っ!)』
「ピーちゃんプーちゃん…どうしよう…。」
巨大な顔が更に近づく。
よく見ると巨大な顔は萌美だ…大きくなったなぁ…って!感慨深くなってる場合じゃねえっ!
萌美…どうしてそんな身体に…可哀想に…萌美…。
差し出した両手で萌美の顔を触ろ…両手?
へっ?
手がないっ!
代わりに羽がある…羽が…羽が……。
……はっ?
気を失っていたようだ…腕が羽になる夢を見ていた…嫌な夢だった…。
ピピッピッピピッ
横を見ると黄色い巨大な鳥がいるし…。
手を見ると羽だし…。
『ビャッギャッギャッ…(ギャァァァァ…)』
「ピーちゃん…大丈夫…?」
気付くと巨大な手の平の上で寝ていた…。
大きいが子供独特の柔らかな手だ。
巨大な萌美が俺を手の平に乗せて心配そうに覗き込んでいる。
『ピピッ(大丈夫だよ)』
俺は起き上がり、周りを見渡す。
さっきは全く気付かなかったがどうやら俺の愛車のランクルの中の様だ。
て事はさっきの檻は鳥籠か?
両手を広げ足にちょっと力を入れて羽ばたくと簡単に飛べた….ってなんで飛べるの?
俺人間だぞっ……窓ガラスには飛び回るインコの姿が…右に旋回すると、ガラスに映るインコも同じように…。
分かってたんだ…理解したくなかったから…知らないフリしてたんだ…俺…インコになってる…。
でも…どうして…?
萌美は人間のままだ、妻の恵子は見当たらない…。
それにここは何処だ?
草原のように見える…遠くには森の様な物も見えるが…車は…ランクルは…無事な様だ…車載物は皆ある…。
鳥籠もある、さっきまで居たのはあそこだ、今はプーちゃんが入っている。
そして俺はピーちゃんと呼ばれている、俺たち一家が飼っていたインコの名前だ…。
まず、頭の中を整理しよう。
俺は
嫁は
娘は
俺たち一家は約一週間の予定で北海道に旅行に行った。
マイカーであるキャンプ向けに改造したランクルに乗って北海道の各地でキャンプをしながら旅をした。
うん、ここまでは合ってる。
そして、北海道土産を満載して帰路につきカーフェリーで本州に入り陸路で家を目指し、あるトンネルに入った…。
そのトンネルの中で地震の様な揺れを感じて車を止めた途端に崩落に巻き込まれ、閉じ込められたんだ。
車の外は危険だが、様子を見なければならない、だが…と迷っているとアグレッシブな嫁の恵子がさっさと車から降りて周りの探索に出た。
残された娘の萌美と俺は車で待機していたが、インコのピーが籠から逃げ出しあまつさえ車からも出た。俺は車のベッドライトの明かりの範囲にいたピーを捕まえ車の後部ドアを開け鳥籠にピーを入れた…途端に光に包まれ気を失って今に至る…。
う〜ん、どう考えても今の状況が理解出来ない…。
ラノベによくある異世界転生とか転移とかならまだ想像の範疇だが、何故にインコ?しかもセキセイインコ?
そうだっ!もしかしたら恵子もインコになってるかもっ!
鳥籠に入っているもう一羽のインコのプーちゃんを見る…無いな…
はっ!もう一つの可能性を忘れていた…。
これは夢だ…そうだ…もう一眠りして起きたら家に居る筈だ…良かった…夢で…。
ないわなぁ…認めたくないが、現実だよな…。
現実なら確かめないといけないのは、ラノベと同じ世界観なのかと言う事だ…人類は居るのか?言葉は通じるのか?危険生物はいるのか?人類がいるのなら文化レベルはどのくらいなのか?などは最低限知らなければならない。
日本ほど平和ボケした世界は珍しいとしても、最低でも人類が生存している世界ならばなんとかなる可能性はある。
一番重要なのは萌美を護りながら生き抜く事だ。
文化レベルは別にして、萌美にはある程度のサバイバル法は教えてある。
今現在ならばキャンプの残りの炭や食料はある、水も屋根の上に積んだタンクにたっぷりとある、この水は嫁の恵子が北海道の美味しい水を飲みたいと言って湧き水を、タンクににいっぱい補充してくれてたものだ。
ただ、この車から動く事が出来ないのが難点で、この車を中心とした生活権を確保することが第一目標になる。
近場に水を確保出来る川か池などがあればなんとかなるが、水が無ければ近いうちに死ぬ。
車の燃料はまだあるが、萌美に車の運転は無理だ。
車は移動手段としてでは無く家として使うしかないだろう。
家と食料は当面はなんとかなった…あとは、この世界の確認だ…だか、この場を動けない以上受け身になるしかない。
まだ、十歳の萌美には酷だが生き延びる為にもファーストコンタクトを任せなければならない…なんとか俺の気持ちや言葉を伝える方法が有ればまだましなんだが…。
インコだしなぁ…。
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