帰宅し疲れていたのか、そのままの格好で寝てしまった、何故かちゃんと布団の中で。
酔い潰れてもこんな寝方はしないのに…
しばらくして、金縛りにあい目を開けることさえ出来なかった。
「…な、なんだ。」
声にならない、何かがしがみついてくる、苦しい…
力一杯暴れて振りほどこうとする、目が開けられないが目の前に顔があることが感じとれた。
ゴン。
不意に金縛りがとけ頭突きをしてしまったようだ、辺りを見渡すと私しかいなかった、そしてもう朝になっていたのだった。
「寝た気がしない…」
まだすこし早かったが、二度寝は出来そうにないので、風呂に入って目をさまして出社することにした。
シャワーがやけにしみる、鏡で背中を見たら爪痕がくっきり線になって残っていた。
「痛いわけだ、何時怪我したのかな?」
私は昨日の夢をわざと考えないようにした。
爪痕の一つが細い二本線になっていたことに気付かないまま、帰りの電車でおでこにアザをつくっていた受付の女子社員に会った。
「また、会いましたね。」
「…ねぇ、君…もしかして、なんだけど…」
爪が割れて二又になっている指で、そっと唇を縦にふさいだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます