助言

メロンパンダ

プロローグ

私はいつも通り何の予定もなくただひたすらだらだらする休日を満喫していた。

そんな日の昼前、ランチのメニューを考えていると私の携帯が鳴り始めた。

非通知からの着信である。私は警戒心が強いほうでもなかったため応答することにした。

「…………」

相手は何も話さない。

かといって私から声を発するのも億劫だったので待っていた。

「…………」

30秒ほど経っただろうか。

私は暇をしているといっても見ず知らずの相手に時間をやるほど寛大ではない。

「あのー」

私が声を発するとほぼ同時に電話越しの相手も声を発した。

「ソト」

どこか聞き覚えのある声のような気がしたが、その一言だけ発すると通話は終了された。

ソト?何のことなのかさっぱりだ。ソトという名前の知り合いはいないし、いたとしたらそれは外国籍の方だろう。そもそも日本人の知り合いしかいない。もっと簡潔に考えよう。

「外」

こういうことだろう。外を見ろ。なのか、外へ出ろ。なのか。せいぜい私が思いつくのはこのあたり。

インドア派の私なのでカーテンを開け約10時間ぶりに外を見る。しかし驚いたことに何の変哲もないいつもの景色だった。なにも驚くことはない。それが当たり前だ。しかし珍しく何か起きるのではという好奇心に駆られ、私は休日だというのに正体不明の電話に影響され身支度を整え始めた。

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助言 メロンパンダ @ohisamatosi

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