第26話 粉飾


「お待たせしました。2007年度、ベンチャー企業部門、最優秀賞を受賞したのは……高性能水処理プラントを開発されましたH社です。おめでとうございます!! 受賞されましたH社の代表取締役 赤海社長様、ご登壇をお願いします。」


 周りから、拍手の波が押し寄せ、記者たちからのまばゆいフラッシュが、熱い視線とともに浴びせられた。隣に座っていた共同開発者である社員たちが、歓喜とともに立ち上がり、握手を求めてきた。まるで、アカデミー賞でもとったかのような騒ぎだ。


「社長、ついにやりました。おめでとうございます。」


 赤海は、まわりにうながされてゆっくりと立ち上がり、会場の観客が待つ壇上へゆっくりと足を運んだ。


 数日前、この受賞を知らせる電話がかかってきた。この開発を始めてから既に7年もの時間と多額の金を費やしている。ようやく今までの苦労が実った喜びが、心から湧き上がった。これまで本当に辛かった。何度、首を吊ろうかと思ったこともあった。蓄えてきた金をすべてをつぎ込み、妻にも本当に迷惑をかけた。


 製品の性能には、昔から相当の自信を持っていたが、なかなか世の中には受け入れられなかった。高性能水処理プラントとは、汚泥に電気分解により浄化するもので、プールの水でも飲料水に変えることもできる。ちっぽけな中小企業が、斬新な商品を世の中に出すには、現実的に不可能な話だ。知名度もなければ、資金力もない。世の中が、我々の発想に追いついてこれないのだと思うようにしていた。


 だが、ついにこの時がきた。どうだ。見たか。もっと、私を讃えろ。


「H社の赤海と申します。今日はこのように名誉ある賞を頂きまして、誠に有難うございました。私は、この高性能水処理プラントの開発にすべての情熱を捧げてまいりました。我が国は、水に恵まれた素晴らしい国です。しかしながら、世界を見渡すと、社会インフラが整わず、綺麗な水でさえも供給されないところが多くあります。私はこのプラントを全世界に広め、綺麗で安全な水を提供したいのです。これは、人類から自然への恩返しなのです!!」


 私自身が商売下手なこともあり、なかなか上手くいかなかったが、この瞬間を持って、貧乏暮らしともこれでオサラバだ。あとは、成功者としての階段を、一歩一歩駆け上がるだけだ。



 この受賞をきっかけに、私を取り巻く世界が一変した。


 誰もが知っている大手の企業から、高性能水処理プラントを海外に売り込みをしたいとの商談がいくつも舞い込んできた。ある企業からは、エリア独占販売をさせてほしいと、見返りとして多額の保証金も積むと言う。


 名前も聞いたことのない横文字のベンチャーキャピタルが、私の会社への出資話を持ってきた。このビジネスには、着工から納品までつなぎの金がいる。彼らが言う新株予約権とかストックオプションとか、正直よく分からなかったが、金は出すが経営には口を出さないこと、将来はIPOを目指そうという言葉を信用して、出資をうけた。


 取引のない新規の銀行が、今まで借りていた金利の三分の一の低利で資金を売り込んできた。


「御社の受賞の記事を拝見しました。御社の技術は画期的で、世の中を変える素晴らしいものです。一緒に夢を見させてください!!」


 文系上がりの銀行員の若い兄ちゃんには、とてもうちの技術のことは分からないだろう。ただ、そのあんちゃんの心意気が嬉しく、言われる条件で金を借りてやった。子犬のように、尻尾を振って帰っていた。乞食のような生活をしていた会社に、宝くじがあったかのような金が一度に舞い込んできた。


 3か月後、メインバンクである地方銀行の担当者から電話がかかってきた。その日は、商社からオリジナルの設計をしてほしいといわれ、技術者と最終打ち合わせをしていたところだった。


「条件変更の期日が今月末に迎えますので、返済計画と印鑑証明を持って、来店していただけますか? 今回は、今までのように利息だけの支払いだけでは難しいと支店長も審査部もいっておりますので、なんとか元金の返済を……」


 そういえば、メンイバンクの元金返済猶予している融資の期日が来ることを忘れていた。これまでの資金繰りは火の車であり、銀行の元金据置対応と、外注先への支払いを繰り延べしながら3年間をしのいできた。税金も社会保険も滞納しており、いつ差押えがきてもおかしくない状況だった。それにしても、銀行の担当者は、我が社が最優秀賞をとったことを知らないのだろうか? 受賞後、新聞の記事はもちろんのこと、雑誌やテレビの取材も受けるようになって、私は有名人にでもなったような忙しさだったにもかかわらず。


「あんた、銀行員なのに新聞も読んでないのか? 支店長に伝えておいてくれ。全額現金で借入を返してやるから、明日取りに来いと!!」


 そういうと、担当者がまだ何かを言っていたが、電話を切った。


翌日、黒塗りの車で、支店長と担当者が花をかかえてやってきた。


「赤海社長、この度は、ベンチャー企業部門の最優秀賞、おめでとうございます。つまらぬものですが……」


 お祝いと支店長名が書かれた胡蝶蘭を、担当者が渡してきた。ぶくぶく太っていて、腹が大きく突き出ている支店長が、気持ち悪い満面の笑みを見せた。地銀の雄と言われている銀行の支店長だから、美味いものをくっているのだろう。それに比べて、食費を削ってきた私は貧相でガリガリであり、自分を情けなく思った。


「そりゃどうも。それにしても、賞をとったのは、3か月も前の話なんだけどね……御行では、新聞もとってないんでしょうか? 私どものような弱小企業には興味がないんでしょうから、お気遣いなく。」


 支店長は罰が悪いのだろう。暑くもないのに、額に汗をびっしりかいて、ハンカチで拭っている。


「……いや、お恥ずかしい。担当者も私も、御社の記事を見落としてしまいました。いずれにしても、幣行も御社の技術力をこれまで高く評価をした訳でありまして……それにしても、世の中に認められて、本当に良かったですな……」


 なんとか、支店長は私の機嫌をとろうと必死だ。


「うちの技術? そうでしたっけ? この前、支店長は自分のことを、会社の目利きのプロ、再建のプロとおっしゃっていましたよね。その支店長が、私どもの高性能水処理プラントは夢物語だ。こんな事業、こんな会社は、本社を売ってさっさとたためばよいと言われたかと……」


 半年前、支店長が再建計画のモニタリングをするとか言って、家宅捜索のように調べあげた結果、侮辱していったことを思い出した。あの時は、我々が目指すビジョンも技術も分からない癖に、偉そうなことを言うだけ言って帰った。新規で取引した若い銀行員の兄ちゃんの方がマシだ。


「赤海社長、そんなに虐めないでくださいよ。当行とは一行先で永年のお取引をしてきたじゃないですかぁ。これまで通り、仲良くやっていきましょうや。今度、受賞をお祝いとして一杯どうですか? 」


「支店長、私はあなたには感謝してるんです。あなたから受けた侮辱をいつか見返そうとこれまで頑張ってきたのです。おかげ様で、大手の企業からも受注がとめどなく来てますし、御行のライバルからも、大きな融資を破格の条件で受けましたので……」


 支店長は、ライバル銀行の名前が出てようやく自分達の置かれた立場をわかったようだ。支店長である自分が頭を下げれば、なんとかなると思っていたのだろう。だって、地銀の雄なんだから、金を貸す方が偉いのだから。


「……赤海社長、これまでの無礼、本当に申し訳ありませんでした。なんとか許してください。今の融資の条件は大幅に見直しさせていただきます。元金の返済も結構ですから。なにとぞ、なにとぞ。」


 私は立ち上がり、ブラインドをあげて外を見た。そして、経理に金を持ってこされた。


「さすが、大店の支店長にもなると、いいお車でお越しですね。ここに2億あります。はやく、持ち帰って全額返済してください!!」


 机の上に、午前中に用意した2億の現金を積んだ。


「そんな急に。それも、現金で持っていけなんて。赤海社長、ほんと申し訳ありません。御社と取引解消されてしまったら、私も地区担当常務に怒られてしまう……なんとかご勘弁ください。」


 支店長は土下座をし始めた。若い担当者が呆気にとられている。自分も土下座をすべきか迷っているのだろう。


「そんなこと知ったことか。私らは命をかけて商売をしてるんだ。あんたらのような、学校の延長線のように点数稼ぎをやってるやつとは違うんだ。帰って、地区担当常務に怒られて来い。サラリーマン支店長!!」


 私はドアを蹴破るような音を立てて、部屋を出た。支店長と担当者は、お金を数えて、律儀にも銀行のルール通りに預かり証をきった。そして、2億もの大金を大事そうに車に積み込み、帰っていった。


 その様子を社長室から見ていた。銀行員なんぞ、つまらん人種だ。自分の金でもないのに、まるで自分の金のように偉そうに貸す。そして、人のふんどしで商売をしている金貸しのくせに、経済界の中心にいると錯覚する。一度の失敗で銀行員人生が終わる。そして、この太った支店長の銀行員人生も終わるのだろう。数ヶ月後、その支店長は、関連会社に飛ばされたそうだ。そこでも、さぞかし再建のプロして活躍されるのだろう。


 人は金に苦しんだ者ほど、金の重みと怖さを知ることになる。しかも、本当の怖さを知っているものは、ほんの僅かだろう。



 H社は、マスコミの過剰な宣伝効果に乗せられ、受注件数を伸ばすことに成功し、着実に業容を拡大した。大手企業からの受注は、売上金額は大きい反面、採算は厳しく、納期にも厳しいというジレンマがある。


 だが、乗りかかった舟を降りることもできなかった。


 会社の成長のスピードは予想以上に速く、自分一人では対応できなくなっていた。そのとき、人から紹介をうけて外資系のベンチャーキャピタルから出資をうけることになった。そのファンドから、IPOコンサルタントと称する人材を紹介された。


 彼の名前は「風見」と言った。銀行交渉や雑務がめんどくさいので、財務担当の取締役として招聘し、我が社の金庫番を任せた。彼の登場は、私にとって、まさに渡りに船であった。


 大手からの受注は、3年は見通すことができた。現状の生産能力で対応するのは厳しかったことから、大規模の設備投資と、大幅に人員を増加させることにした。これまでに滞納していた税金や社会保険は一括で払ったが、会社はでかくなればなるほど、金がかかる。出資をうけた金もアッという間になくなり、融資で賄うしかなかった。受注は山ほどあるし、前向きな資金需要、それもベンチャー最優秀賞という箔もある。


 風見は、金融機関への説明資料を作成するのと口がうまかった。ハイエナのように金融機関が群がり、ほぼ無審査で借りてくれというので、借りてやった。


 元メインバンクで取引を解消した地方銀行から何度も訪問があり、取引を復活させてほしいと支店長自ら訪問してきた。風見からの報告では、すぐにでも飛びつきたい条件ではあったが、私は首を縦には振らなかった。


 私の会社には、社会的な大義と使命がある。そして、この事業は国全体が私達を応援しているのだ。今は苦しいが、目の前の受注をこなすことが第一であり、膨らんだ借金はいつでも返せると思っていた。



 ところが、人生はそうはうまくいかなかった。


 翌年、リーマンショクが起きて、世界経済はドン底に落ち、未曾有の不景気がやってきた。大手企業は、世界の水を救う大義名分なんてどうでもよくなった。それどころか、大手企業自身が生き残りをかけたサバイバル戦争が起きた。その戦争に赤海のような地方の新興企業も巻き込まれてしまった。


 取引先のほぼすべてが、新規発注停止を言ってきた。それだけならばまだ対応できるが、既に注文を受けていたものも、完成間際の仕掛り工事までもストップしてしまった。


 悪循環はまだ続く。今後の受注を見込んで在庫を積み増していたのも仇となった。高止まりした人件費を中心とした固定費が賄えず、赤字が累積してきた。リーマンショクは、金融機関の懐事情も悪くしたようで、既存取引行の新規の融資も引っ張れない。


 あれだけあった潤沢な資金があっという間に、底をつきそうな勢いとなった。大手の取引先に工事の再開を依頼するが、彼らも売り手を探すのに難航しているとか、エンドユーザーの資金調達がうまくいかないといって、なしのつぶての状態だった。従業員を沢山抱えているのに、開店休業となってしまった。


 財務、経理には疎い私もさすがにあせった。風見を社長室に呼び出した。


「風見さん。なぜ、こんなに早く資金がなくなっていくんだ!!はやく手を打たないと、底をつくんではないか? 」


「社長、その通りです。このまま新規受注と止まった工事が再開しないとなると3ヶ月後には資金はショートする可能性が高いです。人員を急激に増やしたにもかかわらず、工場が動いておらず、赤字も続いているためです。資金繰りを改善するには、余剰となっている従業員をリストラするしかないように思いますが……」


「そりゃ無理だ。せっかく採用したんだ。もうすぐ、現場が動くと思う。また、受注は沢山あるが、人がいないから仕事を断るということはもうしたくない。もう少し耐えてくれないか? 」


「なら、資金調達をするしかないですね。ただ、取引のある銀行は、私の方であたっていますが、受注が戻るまで、新規の融資は厳しそうです。なんとか、手形は書替してくれそうですが……。どこか、新規調達出来そうなとこはありませんか? 赤海社長の知り合いの方、取引先でもいいです。」


 私は頭を抱えて考えた。ここらの地元の金融機関は、信金から信組まで可能な限り、融資を受けた。頭の隅に、ある銀行が思いついた。私のプライドが、あそこに頼むのはダメだと言ってくる。


「元メインバンク様かぁ……あそこには、死んでも頭を下げたくないな。」


 風見は、赤海が渋るのを見透かしたかのように、前に持ってきた融資の提案書を差し出した。やはり、喉から出るような条件と金額だ。


「私も同じことを考えていました。この後に及んで、背に腹はかえられません。私の方にも、その銀行の担当者がたまに来てます。ここは、過去のことは置いておいて頼んでみませんか? あの銀行は、バブルの影響も軽微だったので、このご時世でも、新規融資には積極的だと聞いています。その担当者から聞いた話ですが……うちと復活で取引をしたら、行内の評価は上がるらしいのです。今の支店長は役員候補らしく、イケイケの野心家とことです。融資を引っ張って来られる可能性は十分にあると思います。」


 私は技術者あがりであり、財務のところはわからない。銀行交渉、口座の管理まで、全てを風見に任せていた。


「もうすぐ、うちの決算だが、赤字は確実だろ。あの数字では貸してくれないじゃないか? 」


「大丈夫です。私に任せてください。資料は私が作りますので、社長はとなりで座ってもらえればいいです。」


 本当にそこまでうまくいくのだろうか。一抹の不安を感じながらも、その銀行と風見に頼まざるを得ない。赤海にできることは、頭を下げるしかなかった。


「そうか。頼んだ。いやだが、あの銀行には頭を下げるよ。」


「ありがとうございます。ただ、一つお願いが。私の知り合いの税理士に顧問契約をかえてもよろしいですか? 」


 そういうと、風見は部屋を出て行った。ドアの向こうでは、代わりの税理士に電話をしているようだった。


数日後、銀行の新しい支店長と新しい担当者がやってきた。風見からアポイントが取れたとの報告を受けたが、本当に支店長が来るのか内心では不安だった。社長室から外の様子を見ていると、黒塗りの車から体の小さな男が出てきた。


 風見からは、我々が焦っているとバレてはいけないので、平然としているようにと釘を刺されている。後は余計なことは言うなと。


「ようやく、お会いできてよかった。」


 そういうと支店長と書かれた名刺を出した。外で見たとおり、前任の支店長とは対照的に、小柄で貧相な顔をしていた。


「前任の支店長が、赤海社長に不愉快な思いをさせてしまったようで。当行とは長いあいだ、いいお取引をさせていただいたと聞いております。」


「その節はお世話になりました。あの支店長はどうされているんですか? 」


「いやはや、引継はしっかりしたのですが、それからは全く。関連会社に出向して、頑張っているんではないでしょうかね。なぁ、お前知ってるか? 」


 さすが、銀行員。出世競争に負けると、墓場にいくようだ。担当者の若造もサァといった冷たい反応だ。


「赤海社長。いま、世間はリーマンショックで不況の嵐です。だが、この地区に根ざす地方銀行として、我が行は地域を守っていかなければならないのです。これまでのことは、水に流して、真っさらな気持ちでお取引を検討してもらえないですか? もちろん、銀行なので決算書を拝見してからですが……」


 問題はそこだ。銀行の支店長にまでなった男だ。冷静な顔をしたこの男は、融資のプロなんだろう。先週、風見が確定申告書を見せて、業績の報告をしてきた。目を通すと、今期は3.5億の赤字だった。すでに、債務超過に転落していた。見るも無残な通知書だった。


 風見は顔色も変えずに、確定申告書と資金繰り表、受注明細を渡した。


「ここに、資料を準備しておりますので、ご検討ください。ご不明な点があれば、私に質問していただければ、お答えしますので、よろしくお願いします。」


「すこし、拝見させてもらいますよ。」


 死刑宣告を待つような気持ちだった。目の前の支店長は、表情が読みにくい。資料をゆっくり1枚1枚めくりながら、おかしな点がないかチェックしていく。その目は獲物を狙うカマキリのようだ。


「前期は、うちもなかなか厳しくてですね……」


 カマキリの沈黙の目に耐えきれず、私は呟いてしまった。机の下で、風間が赤海の足を押さえた。余計なことを言うなという無言の合図だった。


「いやいや、この時期に黒字決算されるなんて、なかなか頑張っていらっしゃるじゃないですか。現預金の蓄えもこれだけあれば、当面は安心ですね。」


 耳を疑った。支店長は何を見ているのだろうか? 遠目に机に置かれた決算書を覗き込む。


 どういうことだ………。


 3.5億の赤字が、3,000万の黒字になっている。ショート寸前の現預金が、4億になっている。」


「私の決裁権限は、3億あります。これからの始まるプロジェクトがあれば、工事の紐付きで運転資金を支援しますよ。なにか、工事を確認できるエビデンスようなものはありますか? 」


「ここに、工事請負契約書がありますので、この工事の立替資金をお願いできませんか? 」


風見、待ってくれ。その工事は、着工直前でストップしたものだ。


「わかりました。店に帰ってから、正式に審査に入りますので、前向きに検討させてください。」


 支店長はそういうと、決算書を大事そうにもっていった。


「風見さん。あの決算書はどういうことだ? 」


「決算書ですよ。ただし、銀行提出用ですが。銀行なんて、いいとこの坊ちゃん集団ですよ。彼らは、競争心を煽れば、すぐに飛びついてきます。社長、大丈夫です。確実に、餌に食らいつきますので、会社を潰さなくてもいいですよ。良かったですね。」


 そして、2週間後、なにも問題なく3億が実行された。会社には、税務申告用の決算書とは別に3冊の決算書ができた。担当税理士のところには、木枯という知らない名前が署名されていた。

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