10.ねがお

 眠たげな彼の頭をなでる夜2時半の部屋に。

 「まだ寝ちゃいけないのに……」そう言いつつ瞼は閉じかけている。


 私は悪い子なので、そんな彼を寝かせようと頭を撫でる。

 私より眠りが早くて深い彼は、数分も経たないうちにすやすやと寝息を立てる。


 彼の寝顔が愛しくて、私は眠りに落ちた彼の頭をまだ撫でる。

 その時ふと、

 「死んだらもう彼と会えないのか」

 そう思うと涙がぽろぽろと零れて、少しだけ死ぬのが怖くなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る