第11話 苦手な人にディスったあだ名を付けてみる/呼び捨てにしてみるという実験〜Part1〜
まだ師走ではないのに、もう駆けずり回っているという表現がぴったりくるほどに仕事が忙しくなってきている。雨だの霧だのでどうにもすっきりしない天気が続いているなかで憂鬱を感じながら、それでも毎日会社に出向いている。もちろん、仕事もそれなりにこなしている。あぁそうだ、誰ひとり私の仕事ぶりを実際的に知っている人がいないこの様な場ですら、すぐ”それなりに”といって謙遜してしまうのがそもそもよろしくないんだ。そうやって私は私自身の自己肯定感を日夜引き下げている。
「今日は誰よりも仕事を頑張りました」
そのくらい言ったって良いだろう。私を無条件に肯定することができるのは私しかいないのだから。
まぁ、そんな師走が近づいた今日、残念ながらというか想定通りというか、兎にも角にも定時に仕事を終えることができなかった私は残業をした。そして、終わらない仕事に悪戦苦闘しているなかでとある人にとあることを言われて非常に嫌な思いをした。詳細は割愛させていただく。まさかとは思うが私という個人が何者なのか特定されてしまう不安もあるし、何より今回お話したいことの本題と誰に何を言われたのかという情報は直接的に関係しないので。
ともかく、残業をしているときにとある人にとあることを言われて非常に嫌な思いをした。そして、嫌な思いを抱えながら私は会社を出て、会社の最寄駅まで歩き、電車に乗り、再び自宅に向けて歩いていた。ずっと嫌な思いを抱えたまま。
「どうしてあの人は私に対してあんな風に言うのだろうか?」
「でも、私がああ言ったことで、もしかしたらあの人の私に対する印象がかなり悪くなってしまったんじゃないんだろうか?」
「私のしたことは間違っていたんだろうか?」
そんなことを考えながら、自宅に向かっていた。そして、「あぁこのままだと、また引きずったまま家に帰って眠れなくなるなぁ」とも思っていた。
しかし、駅から自宅に向かって歩いているときに、ふと、ある意味でヤケクソ的な考えが頭に浮かぶようになった。
「ってか、マジであいつは器が小さい。チン○スくらいの器しかねぇんじゃねえの?」
「〇〇(呼び捨て)はマジで4年前から何もかわらねぇな」
「そんな器の小せぇ奴には誰もついて来ねえよ。結局最後はひとりになって終わりだろ」
「あぁだからそうか、そんなチン○スくらいの器の奴に言われたことなんて気にする必要なんかないや」
「むしろそんな奴からは評価”されない”人間になった方がよっぽど良いだろ」
きっかけは自分でもわからない。いろいろな考えが頭の中を駆け巡るなかで相手に対する疑念や過去に感じた不満などが想起されるなかで、徐々に思考が変わっていったのかもしれない。とにかく、自然とこんな風に考えられるようになってから、嫌な気持ちが徐々に解きほぐれていくのを実感した。不思議な感覚だった。もしかしたら、今までに感じたことのないような感覚だったかもしれない。
そんな何とも言い難い脳内開放感を感じながら、HSP”かもしれない”私の対人ストレスをもしかしたら劇的に軽減できるかもしれない方法を思いついた。
それは、「気づいたらマウントを取られてしまう人/立場的に目上で言いなりにしようとしてくる人/押しが強いので何か頼まれると断りづらい人」といった集約すると「私が苦手としている人」に対して私の脳内で次の行為をするというものだ。
1.わかりやすくディスったニックネームをつける
ex)チン○ス、ファッ○ンデブ、大企業の小物など
2.呼び捨てにする
倫理的にどうかという話もあるし、かえって思考が大きく歪んでしまうような気がしないでもない。とはいえ、あくまでも自分自身の脳内だけ(あるいは家庭内などの非常に限られた空間において会話をする相手を選びながら)このような行為をすることによって、私としては、苦手な相手を客観的にというか、あたかもゲームのキャラクターか何かのように捉えることができるようになるのではないかと考えている。
「またチン○スがしょうもないことを見つけてぐちぐち文句を言ってきてるよ」
「あいつ偉そうに指示してきてるけど、どうせ家に帰ったらカミさんの尻に敷かれっぱなしなんだろ絶対」
たとえばこんな風に相手を見ることができれば、ある意味フィルターを通して相手を見ることができるようになるので、私自身のなかに余計なストレスを溜め込まずにすむようになるのではないかと思っている。また、脳内で勝手に上下関係あるいは主従関係を作り出し、私自身を自ら”下”あるいは”従”に位置する存在と見なしてしまって、言われるがままになったり断れなかったり意見できなかったりといったことも減るのではないかと。
そう言えば、数年前までタレントの有吉弘行氏がいろいろな芸能人にあだ名をつけていた。1.についてはあのようなイメージで自分のなかで楽しみながらやってみよう。有吉氏ほどの才能はないとしても、自分自身のなかで笑えるあだ名をつけられるかもしれない。そう言った意味で、1.は「有吉法」と言い換えようか。
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