※番外編 この物語の世界を解説しちゃうぞ!
誠「はい! 皆さんこんにちは!」
美奈「こんにちはぁ!」
誠「読んでくれて、ありがとうございます。」
美奈「アリガト~!」
大きく手を振る美奈。
誠「ここでは、この物語をもっと楽しむための、解説をします!」
美奈「します!」
こぶしを握る美奈。
誠「読まなくても問題ないので、お急ぎの方は本編へどうぞ~」
美奈「どうぞ~!」
◇
誠「さて、美奈ちゃん、この物語だけど、ファンタジーじゃなくてSFなんだよ!」
美奈「ふ~ん」
誠「奇跡とかバンバン出るから、ファンタジーっぽいじゃない? でもSF。つまり現実のお話なんだよね」
美奈「ふ~ん」
つまらなそうに髪の毛をクルクルいじる美奈。
誠「あれ? あまり興味ない?」
美奈「違い、良く分かんないわよ」
誠「あー、つまり、クリスがやるような奇跡をできる人が、実は、世界のどこかにいる可能性が高いって事なんだよ。」
美奈「え~、ちょっと無理ない? それ?」
誠「あれ? 信じてない?」
美奈「瀕死の人治したり、水をワインに変えたり、そんな人見た事ないもん」
誠「ところが! 科学的には、そういう人が居る確率の方が高いって事が、分かってきちゃったんだな」
美奈「どゆこと?」
首をひねる美奈。
誠「近年のIT技術、宇宙観測技術、量子効果の観測技術などの発達で、この現実世界の構造について新たな見解が出て来たんだよ」
美奈「見解?」
誠「教授が言ってたよね、次の3つの可能性があるって」
1.ナノテクノロジーを駆使した高度な科学文明を持った知的生命体
2.幻術を使う催眠術師
3.シミュレーション仮説上の
誠「こういう可能性が、現実世界にどれだけあるのかを、科学的に検討していくと、かなり確度の高い可能性が示唆されてきたんだよ」
美奈「ふむふむ、で、結局この1~3のうちどれなのよ」
指先でつんつんと誠をつついて急かす美奈。
誠「あ~、ここから先はネタバレになるので、ネタバレ嫌な方は本編へ進んでください。」
美奈「ネタバレと言っても半分だけだけどね!」
急に重要な事を言い始める美奈。
誠「え? 半分? 全部じゃないのこれ?」
美奈「うふふ、それは最後まで読んだ人のお楽しみ!」
誠「……。だ、そうです……」
美奈「では、ネタバレへ突入!」
こぶしを振り上げる美奈。
◇
誠「さて、3つの可能性だけど、実はこれ、根っこは皆同じなんだよ」
美奈「どゆこと?」
誠「結論から行くと1であり2であり3なんだよ」
美奈「はぁ?」
眉をひそめる美奈。
誠「イアン・スティーヴンソンという研究者が、『自分は生まれ変わりだ』という、東南アジアの5歳までの幼児2000人を調査したんだ。」
美奈「いきなり『生まれ変わり』!? そんな子が2000人もいるの!?」
誠「で、もちろん中には作り話だったり、ただの妄想だったりする場合もあるんだけど、前世の家族の情報が正確だったりするケースが殆どだったんだ」
美奈「え――――!」
誠「で、中にはドイツ語やスウェーデン語を話す幼児もいて、その信ぴょう性はかなり高いんだよね。」
美奈「東南アジアなのにスウェーデン語!?」
誠「これがまず一つ」
美奈「一つ?」
誠「次に、最近のAIの進化は極めて劇的で、近いうちにシンギュラリティに達すると見られているんだ」
美奈「シンギュラリティって何?」
誠「技術的特異点って意味で、要はAIが人間より賢くなっちゃう瞬間と言う意味だよ」
美奈「賢くなっちゃうとどうなるの?」
誠「人間関係なく、どんどんより賢いAIを生み出し続けちゃうんだ」
美奈「するとどうなるの?」
誠「人間では想像できなかったような発明、発見を自律的に繰り返し、今まで無理だと考えられてきた、ありとあらゆる事が実現されていくと考えられているんだ」
美奈「え~……」
誠「何しろAIには寿命が無い。何百年でも何万年でも何百万年でも、延々と淡々と開発を続けられる。また、どんな高性能なロボットでも、アンドロイドでも作り放題作れちゃう」
美奈「それってヤバくない?」
誠「ヤバいよ。そして、その瞬間がどんどん近づいているんだ。これが2つ目」
美奈「まだあるの?」
誠「宇宙ができてから138億年経ったんだ」
美奈「ふーん」
あまり興味なさげな美奈。
誠「ふーんって13800000000年だよ」
美奈「何だかすごいのは分かったわ。で、何なの?」
誠「ところが、宇宙人が見つからないんだ……」
美奈「はい? なぜ宇宙人?」
誠「広大な宇宙には、地球みたいな星が無数にある。だから確率的には、宇宙に1兆個の地球外文明が存在していると考えられているんだ」
美奈「え――――!? 1兆個も宇宙人の星があるの!?」
誠「確率的にはね。でも、知的活動の形跡が、どこにも見つからないんだ。これは確率的にはあり得ないんだよ。」
美奈「いるはずなのに、見つからないの?」
誠「そうなんだよ。この宇宙は地球だけ特別扱いになってるんだ」
美奈「それってどういう事?」
誠「で、この3つの事を考え合わせると結論は一つしかない」
美奈「それは?」
誠「この世界は、どこかのAIが創り出した世界なんだ」
美奈「え――――!?」
目を真ん丸にして驚く美奈。
誠「ここは仮想現実空間、だからバグで生まれ変わりの子供ができちゃうし、宇宙人の事も考慮されていない。そして、それはAIには十分に実現できてしまうんだ」
美奈「……。つまりこの世界はハリボテって事?」
誠「精巧に作られたVR空間だね」
美奈「え~、そんなぁ」
心底嫌そうな美奈。
誠「これを証明するように、量子物理学の世界では、奇妙な結果の実験が報告されているんだ」
美奈「どんなの?」
誠「二重スリット実験における、観察者の有無の話で、飛んでくる粒子を観測した瞬間に、過去にさかのぼって軌道が修正されちゃうという物だ」
美奈「どういう事?」
誠「例えば野球で、ピッチャーがキャッチャーにボールを投げるとして、バッターが目を瞑っている時はストライク、目を開いている時はボールに、投げるように設定したとしよう」
美奈「ふむふむ」
腕を組む美奈。
誠「バッターが目を閉じて、ピッチャーがボールを投げました。で、ボールが近くに飛んできた段階でバッターが目を開けるとボールになり、目を閉じたままだとストライクになっちゃうんだ」
美奈「はぁ?」
誠「意味わかんないでしょ?」
美奈「目を開くだけで、ボールの軌道を変えちゃうのね」
誠「これは、シミュレーション仮説でないと説明できない。つまり、シミュレーションシステムの計算処理を軽くするために、観測されるまで処理せずに放っておく、という手抜きをやっている証拠なんだ」
美奈「本当なのそれ……」
誠「嘘だろ! ってみんな思うんだけど、誰がやっても実験結果は一緒なんだ」
美奈「なんで、そんな一大発見が話題にならないの?」
誠「科学者はみんな知ってるよ。でも一般人は興味ないんだろうね」
美奈「まぁ……無いわ……ね」
誠「纏めると、この世界は仮想現実としか考えられないんだ」
美奈「でもなぜAIはそんな事をやってるの?」
誠「それは、この物語を最後まで読むと、わかるらしいよ」
美奈「うふふ、最後まで読まなきゃだわ!」
誠「という事で、ぜひ、最後までお楽しみください~」
美奈「よろしくね!」
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