プラカージ!
紫宮 翠
問1
僕が見える人、手を上げて。
誰も手を挙げることはない。
僕の声が聞こえる人、手を上げて。
誰も手を挙げてくれない。
僕の臭いがする人、手を上げて。
誰も手を挙げない。
僕の味が分かる人、手を上げて。
誰も手を挙げない。
僕を触れる人、手を挙げて。
誰も手を挙げない。
五感のどれを使っても、僕を感じることは「人間」にはできないようだ。
だってそうだろう。
―――僕は「お化け」なのだから―――
でも、考えてみよう。
もしかしたら。
お化けなら「見合う」ことができるかもしれない。
お化けなら「話し合える」ことができるかもしれない。
お化けなら「臭い会える」かもしれない。
お化けなら「味わい会える」かもしれない。
お化けなら「触れ合える」かもしれない。
最後三つは危ない香りがしたけど・・・許してほしい。
お化けはいたずらが大好きだから。
じゃあ、最後にもう一つ考えてみよう。
―――お化けと人間のハーフがいたら―――
―――ねえ、どうなるの?
答えは簡単。
誰でも「見える」「聞こえる」「臭える」「味わえる」「触れられる」。
で、今のがちょっとした前置きで。
ここからが本題だよ。
At the restaurant
僕はカレーを作っていた。
作ったのはたぶん1年ぶりだと思う。
出来上がったので、まずは匂いを嗅ぐ。
すばらしくカレーの匂いだ。
味見をする。
良さげなな甘口の中に、少しピリ辛をつけるために入れた唐辛子が絶妙にマッチしている。素晴らしい。
皿に盛る。
見るからに美味そうだ。
食欲のあまり喉から手が出そうだが・・・まだだ。
こいつは仲間たちの分だからね。
四つの皿にカレーを盛り、カウンターに運ぶ。
皆に配り、自分の前にも置いたら。
皆で元気にいただきます!
僕の仲間たちは食欲旺盛なのか、いただきますの直後には一口目が口の中にあった。
「お前の作るカレー美味いな・・・店員にした甲斐があったぜ」
「そりゃどうも」
「誰から習ったこんな美味いヤツ!うちにも教えろ!」
「君は料理できないでしょ・・・ユリさん」
ユリさん
本名:浜 沙百合
歳:17歳
職業:前衛アタッカー・ボケ担当
能力:起笑
特性:地味に中二病・ミリオタ
マジで女子なのこの人と問いたいぐらい、趣味が男の子らしい。ただ、武器について詳しいからとても助かる一面もある彼女。サバイバルのために料理は修業中なんだとか。
「でも、カレーの味なら俺も負けんぞ。なんなら、そこの鍋に作ってあるから食べてみなさい」
「んー・・・ スザクのカレーはもう飽きたかな?」
「なん・・・だとおっ?」
「・・・ドンマイです」
スザクさん
本名:朱雀 亮助
歳:17歳
職業:止めを刺す人・ツッコミ
実はこのレストランで料理を担当している凄腕高校生。もちろん僕より料理はできるし、このチームのリーダーとして皆のまとめ役(訂正、突っ込み役)を担当している。
「ボクには教えてもいいよね? 先輩」
「君は・・・今度教えてもいいよ」
「ソラばっかずるい!」
ソラくん
本名:木元 空音
歳:15歳
職業:暗殺者・ボケ担当
能力:加重
特性:ボクっ娘・陸上部
チーム内最年少。ダッシュ速度および持久力はピカイチだけど、脳みそが少し筋肉なのか天然系。僕と似ているのか、睡眠時間が長く、今ちょっと夜遅いぐらいだがいつもなら寝ている。
「で、どうだい? 僕のカレー」
「素晴らしい・・・正式採用だな」
「アカツキもずるいぞ!うちも採用しやがれくそリーダー!」
「・・・君はまず包丁握ったら殺人事件が起きるだろ」
「ちょっと何行ってるか分からないなー!」
何なんだこの人たちと思ってもらって構わない。用意したプロフィールは僕が彼らと出会ってから一ヶ月の地点でのデータなので、詳しいことはこれからしっかりお話しようと思う。
僕はカレーを食べ終わり、コーヒーを注ぎながら、少し考え事をしていた。昼間から聞きたいことがあったのに、思い出せなかったからだ。
「ご馳走様。ほんとアカツキを雇ってよかったよ。これからもカレーを作ってももらわないとね。売り上げが落ちたら大変だ」
「ボク毎日食べても飽きないかも!」
「・・・うちはどうでもいいわ」
あ、思い出した。
「みんなに聞きたいんだけどさ・・・」
―――なんで僕はここにいるの?―――
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