After Data.34 弓おじさん、裁きの火
――ぴこんっ! シリーズ装備『紅蓮白雪』が完成しました!
――これにより、新たな奥義【アグニの矢】を獲得しました!
【アグニの矢】
神聖なる炎を宿した矢を放つ。
矢が刺さった箇所からは巨大な火柱が噴き上がる。
クールタイム:5分
これは……ネーミング的にも効果的にも【インドラの矢】に近いものを感じる。
共にインド神話の神々の名を冠しているし、矢が当たった後に効果を発揮するところも同じだ。
でも、こっちの方が【インドラの矢】よりも説明文があっさりしている分、使い勝手が良さそうではある。
「さて、最終ステータスは……」
◆ステータス
名前:キュージィ
職業:
属性:火/氷
Lv:30/50
HP:250/250(+90)
MP:180/180(+40)
攻撃:490(+400)
防御:270(+230)
魔攻:40
魔防:170(+140)
速度:50
星域射程:1050(+200)
スキル:
【超弓術Ⅱ】【会心の一矢】【
【インファイトアロー】【バウンドアロー】【クリアアロー】
【インフェルノアロー】【トライデントアロー】
【ドリルアロー改】【レターアロー】【ガトリングアロー】
【サンダーアロー】【フラッシュアロー】
【
【真・不動狙撃の構え】【狙撃の眼力】【獣王威圧の眼力】
奥義:
【裂空】【インドラの矢】【アグニの矢】
【ワープアロー】【アイムアロー】【ビッグアロー】
合体奥義:
【流星弓】【
ミラクルエフェクト:
【
◆装備
頭部:Aウェンディゴヘルム
右手:Vイフリートシューター
左手:(Vイフリートシューター)
両腕:Aイエティガントレット
胴体:Vフェニックスアーマー
脚部:Vサラマンダーレッグ
両足:Aビッグフットブーツ
装飾:〈海弓術・七の型〉、〈鏡写しのミラアリス〉、〈破魔弓術・四印〉
レベルが30まで上がっていたので、獲得した強化ポイントを『星域射程』に振っておいた。
スキルも【超弓術Ⅰ】が【超弓術Ⅱ】に成長し、弓装備時の攻撃と射程ステータスの増加が+130から+140になった。
それにしても、俺の射程も補正抜きで850まで来たか……。
1レベルごとに貰える強化ポイントは『15』なので、このまま射程に振り続けるとレベル40で1000を超えることになる。
正直、これ以上射程に振って強くなれるのかという疑問は常々感じている。
でもまあ……切りのいい素で射程1000までは振っても良いのかなとは思っている。
そこまで振れば極めたと言えるだろうし、次のことを考えるタイミングとしてはちょうどいい。
まっ、今はとにかく風雲装備の再生を第一に考えよう。
ここまでくるとレベルって案外上がらないからなぁ~。
双子山に挑む前のレベルは24だったのに今は30だ。
6体のボスを倒し、道中ではユニゾンモンスターのエイティや雑魚モンスターもたくさん倒しているのに30というのは結構渋いというか、要求される経験値の量が増えてきていると感じる。
だからこそ、今は気にしない方がいいのだ。
気づいたら結構レベル上がってましたという状態がベストだと思う。
さて、他にステータスで気になる点と言えば……『速度』低すぎないか?
これエイティより数値が低いよな……?
個人的にはそこまで不便には感じなかったが、それは炎の翼のおかげか。
流石に多少の底上げを考えた方が良さそうだな。
あとは……ちゃんと【アグニの矢】も追加されているし、装備欄もまさにシリーズ装備って感じで統一されている。
何も問題は……。
「あっ!? 職業欄の下に……属性が追加されている!?」
こんなの今までのステータスにはなかったぞ!
なぜ急に表れたのか……答えは1つだ。
紅白装備……正式名称『紅蓮白雪装備』はそのシリーズすべてを装備している時、本来モンスターしか持っていない『属性』というステータスをプレイヤーに与えるのだ!
……と、ステータスの属性欄をタッチすることで呼び出せる説明文に書いてあった。
正確にはもう少しシンプルな説明だったが、要するにそういうことだ!
火と氷の属性を持つことにより、俺が発動する火と氷属性のスキル奥義は効果がアップする。
そして、火と氷が苦手とする属性の攻撃を受けた際には、俺へのダメージがアップする。
属性の付与は長所と短所の両方を併せ持っているが、NSOはバランス的に攻撃有利のゲームなので、主力スキルの【インフェルノアロー】の威力が上がるメリットの方が大きいかな。
それに新たに獲得した【アグニの矢】も当然火属性なので威力が上がるはずだ。
「あとは実践あるのみだな!」
俺は村の『お試し場』にやって来た。
ここは初期街にある公園のように街中でもスキル奥義の発動が許される場所だ。
かなり狭いけど人もいないし、こっそり新奥義を試すならここが最適だろう。
「まずはツインジェットスチームアロー!」
発動と同時に『Vイフリートシューター』が2つの小さな弓に分かれ、両手の甲に装着された。
1つは紅色で、1つは白色だ。
……この状態だと弦を引けなくないか?
とりあえず、音声認識を試してみるか……。
「発射!」
シュゥゥゥゥゥゥ……シャッ!
シュゥゥゥゥゥゥ……シャッ!
両手から蒸気が噴き出た後、ほんの少し間をおいてから矢が発射された!
は、速い! 【裂空】には及ばないが、【裂空】よりも力強さを感じる!
蒸気の尾を引きながら飛んで行くから、そう見えるのかもしれない……!
この矢を30秒間撃ち放題とはなかなか太っ腹な奥義だ。
逆に言えば、30秒撃てる奥義だからこそ、その30秒間を上手く使わなければ損をするということでもある。
矢の発射は音声認識以外にも、拳をグッと握ることでも行えることがわかった。
拳を握り続ければ連続発射、左右別々のタイミングで拳を握れば、左右で時間差をつけた射撃も可能だ。
威力は……1発1発は決して高くない。
やはり30秒間でどれだけ矢を当てられるかが重要になる。
ただ、この奥義は非常に取り回しが良い。
手を敵の方に向けて拳を握るだけで矢が撃てるので、難しい状況でも容易に矢を放っていける。
エイムもクロスボウよりは違和感がない。
攻撃を受けながらでも、それなりの命中率は維持できると思う。
他に特徴的な点と言えば、発射までのわずかなラグかな。
拳を握って発射の命令を出した後、シュゥゥゥゥゥゥと蒸気の力をため込む時間があるため、本当に少しだけ発射のタイミングがズレる。
こればっかりは使い続けて感覚を覚えるしかない。
もう1つ特徴的な点は、【
本来ならば【
例えば【ツインジェットスチームアロー】に【インフェルノアロー】を融合すれば、すべてが蒸気の力で飛んで行く地獄の炎の矢になるはずなのだが、実際は違った。
1本目には【インフェルノアロー】を融合して火属性の矢に。
2本目には【サンダーアロー】を融合して雷属性の矢に。
3本目には【トライデントアロー】を融合して水属性の矢に。
……といった感じに、30秒間の間にいろんなスキル奥義と融合出来る。
融合は出来る……が俺がそれに適応できるかは別問題だ。
そんなにコロコロ状況に合わせて出すものを変えられるかはわからない。
まあ、とりあえず適当なスキルを融合させておくだけでも威力は上がるだろう。
特徴的な点はまだあるぞ……!
頭がこんがらがってきそうだが、最後のこれは非常にシンプルな特徴だ。
この奥義によって撃ちだされる矢は……直進する力が非常に強い。
どれだけ強いかというと……他の効果によって軌道を変えられないくらい強い。
【インドラの矢】を融合しても矢は天に昇らず、真っすぐに飛んで行く……!
『星域射程』の効果で軌道を曲げようとしても、曲がらない……!
そう、この奥義と融合されたスキル奥義は、複雑な軌道を一切排除して『ただ直進するシンプルな矢』へと変化する。
つまり、【インドラの矢】は単純に【サンダーアロー】の強化版のような雷の矢になる。
使いどころに困る奥義を普段使い出来るようになるのはありがたい。
ただ、【インドラの矢】の場合は高く上がることで威力も上がる仕様なので、この使い方をすると威力が落ちてしまうことは覚えておこう。
ふぅ……。これで【ツインジェットスチームアロー】の検証はひとまず終わりかな……。
次は【アグニの矢】だ。
「アグニの矢!」
全体が紅く染まった矢が放たれる!
【インフェルノアロー】の赤黒さとはまた違う鮮やかな
ゴオオオオオオオオオオオオーーーーーーッ!!
紅き矢は標的である丸太に当たった瞬間、巨大な火柱に変貌した!
で、デカい……! 標的は巨大な火柱に完全に飲み込まれて見えなくなっている!
まるで炎の牢獄に閉じ込められているかのようだ……!
「ははっ、まだまだ強い奥義があるもんだ!」
この装備……紅白装備でなら、風雲装備を取り戻せる。
そして、風雲装備を取り戻した後も第2の主力装備として俺の力となってくれるはずだ。
最強パーティ決定戦で優勝しても、まだまだNSOを遊びつくしたことにはならない。
新たなAI、新たなマップ、新たなイベント、新たなプレイヤーが俺を待っている!
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