辺境伯令嬢が婚約破棄されたので、乳兄妹の守護騎士が激怒した。
克全
第1話第三者視点
王国では大陰謀が企てられていた。
一つのミスも許されない重大な陰謀だった。
王国を魔獣の侵攻から護っている、コックス辺境伯家を潰そうと言うのだ。
万が一にも事前に事が露見すれば、コックス辺境伯家は叛乱を起こすだろう。
それくらい危険な行為なのだ。
「殿下。
もう大丈夫でございますよ。
謀叛を証言するコックス辺境伯家の家臣も確保しました。
偽造の証文も血判状も用意しました。
これでコックス辺境伯家も言い逃れはできませんよ」
王太子殿下とトライオン伯爵家のエミリア嬢はベッドの上で乳繰り合っていた。
全ては二人の不義から始まっていた。
王太子はエミリアの美貌に理性を狂わされてしまったのだ。
他の人間がどう評するかは分からないが、王太子アーロンにとっては、エミリア嬢こそが運命の相手なのだ。
ぼっちゃりと豊満で下膨れのほほ。
太く黒々とした眉。
細い小さな眼と黒い瞳。
とがった小さい鼻。
小さく可愛いおちょぼ口。
サラサラとした長い黒髪
腕が回らないくらい豊満な体。
一方コックス辺境伯家のキャロライン嬢は、王太子アーロンから見ると化物としか言えなかった。
他の人間がどう評するかは分からないが、王太子アーロンにとっては絶対に妻にしたくない、ベッドを共にしたくない相手だ。
うりざね顔。
細く金色に輝く眉。
顔から零れ落ちそうなくらい丸く大きい眼と青い瞳。
すっと通った鼻筋。
厚く濡れた唇。
優雅にウェイブした金髪。
抱きしめたら折れそうな柳腰
国のため王家のため、吐き気をこらえて醜いキャロラインとの婚約を受けいれた。
王太子としての責任感から、隣国との戦争で疲弊する国の事を考え、大魔境を抑え、魔獣から国を護ってくれているコックス辺境伯家を遇する必要があったのだ。
魔獣の素材と肉に加えて、軍資金もコックス辺境伯家から引き出したかったのだ。
幸いコックス辺境伯家は大魔境の一部に入植を成功し、そこに新たな鉱山を発見したのだ。
それも銅山や鉄鉱山ではない。
ミスリル・オリハルコン・ヒヒイロカネといった、金や白金を超える貴重な鉱山を発見したと言うのだ。
国王陛下はは恥を忍んでコックス辺境伯家に支援を要請した。
国王陛下だって臣下に頭など下げたくなかった。
だが国のため民のため、下げたくない頭を下げたのだ。
だが、コックス辺境伯家は支援を断って来た。
魔獣を抑える役目を笠に、傲岸不遜にも王家の嘆願を断ったのだ。
そんな時に、エミリアが王太子アーロンにささやいたのだ。
コックス辺境伯家を潰してしまえばいいと。
キャロラインを人質に取りさえすれば、キャロラインを溺愛するコックス辺境伯は、簡単に降伏するだろうと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます