24 ソラ

 ソラ


 ……魂が震える。(……怯えてる? それとも、私は、あなたに恋をしているの?)


「そんなにいっぺんに質問されても答えられないよ」少女は言う。

「それからそのお前っていうの、やめてくれないかな? 私にはちゃんと『ソラ』って言う名前があるんだからさ」と少しふてくされた様子でソラは言った。

「別にお前の名前なんかには興味がない。僕が興味があるのはお前のしようとしている行動だけだ」ハルは言う。

「つれないね」両方の手のひらを軽く上にあげて、ソラは言う。

 それから二人はしばし無言になる。

「もう一度言う。質問に答えろ!」ハルが言う。

「いいよ。ずっとこうしていたら、時間がもったいないしね」ソラは言う。

「えっと、まずは私の所属ね。私はこう見えても、機械技師の一人なんだ。と言っても機械技師の中でも私は新参者で下っ端だから、主にこういった諜報とか潜入とか、いわゆる頭脳労働ではない肉体労働を担当しているってわけ。幸いなことに、私、こう見えても運動能力だけはずば抜けて高いんだ。だから君とこのまま格闘しても、たぶん私が勝つね。武器を持ち込めないっていうのは、不便なものだね」とソラは言う。

 ハルは情報を整理する。

 本来、自分が機械技師である、と言う人間の99%が嘘だった。実際にハルも、ここが壁の中ではなかったら、ソラの言葉を嘘だと判断しただろう。

 しかしここは壁の中だ。

 こんな場所にいる以上、ソラの言葉はかなり信用性の高い言葉だとハルは判断をした。

「……信じよう」ハルは言う。

「OK。さすが最年少で最難関の情報士試験を突破した天才くんだね。話がわかる」ぴゅー、と短く口笛を吹いてから、ソラは言った。

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