その存在を見つけた瞬間、膨大な数の羅列が(まるで激しい暴力のように)ハルの脳内に飛び込んできた。

「!!」

 暗号のように、あるいは無秩序な数字の羅列にも思えるその数の巨大さに圧倒されて、ハルの頭は危なくパンクしそうになった。

「ハル!」

 そのとき、バックアップとして待機していた冬がハルの代わりにタブレットの終了キーを押した。

 タブレットはコンピューターとの接続を解除され、ハルは「う」と一度うめき声をあげながら、その場にばたんと倒れこんでしまった。

「……ハル! ハル!」

 フユの声が聞こえる。

 ハルはフユの声を命綱の代わりにして、ぼんやりとする意識の中から、現実の世界へと回帰した。

「ハル。大丈夫?」冬が言う。

「……ああ、大丈夫だよ。ちょっとだけ、油断しただけさ」弱々しい顔で微笑みながらハルが言った。

「それよりも、収穫は?」

「えっと、ちょっと待ってね」

 フユはハルの代わりにタブレットを操作して、プログラムを確認してみる。

 するとそこには先ほどハルが見つけた人工知能の魂のような存在が、……『いた』。その存在はタブレットの画面の中で虹色に輝く炎のような外見をしている。

 その外見を見て、フユはとても驚いた。

 それはまさに、普段フユの考える、人の魂の形、そのものの(アバターの)ような外見だったからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る