6
赤色のランプの点滅と大きな警報音は、それからしばらくして止まった。
だけど、コンピューター室の中にそれ以外の変化は訪れなかった。入り口のドアはロックされたままだった。
そのため二人はコンピューター室の中に閉じ込められてしまったのだ。
「さて、これからどうしよう?」フユが言った。
「どうしようも無い。助けがくるのを待つしか無いさ。幸い衛兵が七人もいると言う話だから、誰か一人くらい僕たちのことを忘れないで、すぐに助けに着てくれることを祈ろう」ハルが言う。
「まあ、そうだね」フユが言う。
目的の鍵を手に入れて、兄弟はもうこの場所ですることが無いため、無駄な抵抗はしないで体力を温存することにした。
二人は床の上に横になった。
すると、しばらくして警報の発令とともに沈黙していたコンピューターにぼんやりと明かりが灯った。
「ハル。なにかした?」フユが言う。
「していない」ハルが答える。
兄弟は立ち上がり、とりあえずコンピューターを確認する。
するとそこにはとても大きな『SOS』の文字が画面の中に表示されていた。
兄弟はその文字を見て、唖然とする。
「……いたずら、かな?」フユは言う。
「いや、それは無いだろう。たぶん」ハルが答える。
通常の状態であれば、その可能性が高い。でも、今は通常の状態では無い。二人がいるのは本来であれば誰も侵入することができない立入禁止区域に建てられた、世界を二つに分ける巨大な禍々しい壁の内側だった。
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