5 もう一人の神様の子
もう一人の神様の子
まどろみ
その部屋には、とても不思議な(でもすごく魅力的な)絵が描いてあった。
ふわふわとした白い雲のような天蓋のある白い大きなお姫様の眠るようなベットと、それから部屋の隅っこに置いてある、かぼちゃの馬車のおもちゃ(結構大きなおもちゃだ。子供なら本当に乗れるくらいの大きさがあった)がとても目立っている。でも、それ以上にこの部屋の中に入った人の目を引くものは、やはり、壁の一面に描かれた『たくさんの不思議な魚たちの絵』であるだろうと、小森ひよこはいつものようにそう思った。
この部屋の主人は今もすーすーと可愛らしい寝息を立てて、ベットの中で安らかな眠りについている。この主人は本当によく眠りについた。普段でも一二時間くらいはいつも眠っていたし、長いときでは十四時間から十六時間くらい(つまり一日のそのほとんどの時間を)眠る時間に使っていた。(とても可愛らしい、本物の天使のような寝顔で、この主人は幸せそうな顔をして、いつも眠りについていた。きっと眠りの中でとても楽しい夢を見ているのだろう)
ひよこはそんな主人を起こさないように気をつけながら、部屋の中を片付けと掃除を始めた。
でも、ほとんど物音を立てなかったのだけど、ひよこの主人はそのひよこの動く気配に気がついて、ぱちっと白いベットの中でその大きな可愛らしい瞳を開いた。
ひよこの主人はそのまま、顔をくるりと横に動かして、部屋の片付けをしているひよこのことを見た。その視線に気がついてひよこは主人のほうにその目を向けた。
「おはようございます。神様」とにっこりと笑ってひよこは言った。
「……うん。おはよう。ひよこ」と単調な(まるで機械音声のような)声で、起きたばかりの小さな神様は、黒色のメイド姿のひよこを見て、(びっくりするほど魅力的な笑顔で)にっこりと笑ってそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます