4 初心者フィールド 緑の平原

 初心者フィールド 緑の草原


 メビウスオンラインにアクセスしたメルが到着したのは、惑星メビウスの辺境にある『緑の草原』と呼ばれている初心者フィールドの中だった。

 メビウスオンラインでは最初、スタート地点を幾つかのポイントから選択できるのだけど、メルはその緑の草原のフィールドを選んだ。

 それは、カラの残した『カラの日記』(それはカラの日常の生活の日記ではなくて、メビウスオンラインでのカラとしての日記だった)に、そこから、『私はこの緑の草原と呼ばれるメビウスオンラインのゲームを始めた』、という記述があったからだった。


 メルは、現実世界の『蒔田める』(メルの現実世界での名前だ)として、いなくなってしまった親友のカラのお母さんから、カラの残していったさようならの置き手紙にそうお願いが書いてあったという理由から、そのカラの日記を正式な手続きを持って、……受け取っていた。(そのときの記憶は、今も悲しい気持ちと一緒にメルの中にずっと、今も色褪せることなく残っていた)

 メルはもちろん、そのカラの日記をすぐに読んだ。

 その日記の中には、その最後の部分に、メビウスオンラインのゲームの内容と、カラの秘密のパスワードと一緒に、『……お願い。私を見つけて。私のことを追いかけて』と言う文字が書いてあった。

「もちろん。必ず見つけるよ」

 日記に向かって、泣きながら、……メルは言った。

 その文字を見て、メルはすぐにメビウスオンラインに登録をして、初めてのオンラインゲームを始める準備を始めた。

 もともと学習能力の高い、優秀な高校生だった蒔田める(メル)は、すぐにメビウスオンラインのルール、ゲーム内容、違反規定、などを覚えて、ゲームを開始した。

 そして今、蒔田めるは、有名ゲーム、メビウスオンラインの初心者プレイヤー、メルとして、この惑星メビウスの世界の大地の上に、たった一人で立っていた。(この場所にかつて立っていた、親友のカラと同じように……)

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