春の香り 夏の匂い
青い星
第1話
空が青かった。
霞んだ、春の空だった。刷毛で掃いたような白雲(しらくも)が浮かんでいる。
その空を見上げていると、弧を描くように、スーッと銀色の飛行体が天空を渡っていった。馨(かおる)は目で追うようにしながら、それが飛行機でないことに気付いた。銀色の飛体には長い尻尾があり、それが日の光にうねるように閃いていた。
何か大きな、飛翔する生き物。馨はその姿が消えるまで見送り、ゆっくりと歩き出した。
ふうっと暖かい風が春の香りを運んでくる。香りと共に、薄桃色の花びらがひらひらと風に舞い散る。その花吹雪の中を、真新しい紺色の制服を着た高校生があちらにも、こちらにも歩いている。そんな彼らに混じって歩きながら、馨は春の到来を心から楽しんでいた。
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