第8話、10年後

10年後の昭和48年

あれから寛子は綾子と会うことはなかった

急遽、寛子はニューヨークに引っ越すことになったからだ。

寛子の絵が日本より先にアメリカで認められた


寛子32歳、まだ独身だがアメリカで日本画家として成功した

今ではベテランの域まで達している、若き天才と評価を得ている

世界的に有名な女流画家となった寛子はニューヨークの異国の地にて

日本の友達を介して綾子の訃報を聞いた

綾子は僅か26歳の若さであの世に帰ってしまった

転落事故

階段を踏み外し転落して打ち所が悪く助からなかったこと

綾子は直前まで眩暈を訴えていて病院に通院していた

診断名はメニエール病だった


(綾子お疲れ様、この世での生は全うしたね)

(ようやく帰れたんだね、お疲れ様、私の愛しい綾子)



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