第3話、小豆あらい

洗濯物に洗剤を付けて洗濯板の上に手で擦り洗う作業

まだ綾子が中学生の頃

夜中に洗濯する音が聞こえてきた

その音があまりにも不快だったので眼を覚ました


しゃりしゃりしゃり


一定の規則正しい間隔で音が聞こえてくる

時計を見た、今は夜中の2時


しゃりしゃりしゃり


こんな時間に洗濯する人がいるの?

綾子はその音に恐怖感しか覚えなかった


次の日に学校で友達にその話しをした

「それって小豆あらいじゃないの」

友達の話しでは

小豆あらいという妖怪の話しである

田舎ではこの手の伝承が多い

昔、川に投げ入れられ殺された子供が妖怪化した物の怪


川で小豆を洗いながら人をおびき寄せ

近づいてきた人を川に引きずり溺死させる妖怪のことである


その時の綾子は14歳で、もう妖怪を信じる年齢ではなく

友達の前では一笑に伏したが

小豆あらいの妖怪のことは頭から離れなかった


妖怪は子供だましでも

あの音は実際に綾子が聞いた音であり気になる

夜中に洗濯をしている人がいる

それだけでも気味が悪い

しかも洗濯している音だと思っていたけど

確かに小豆を洗う音だと云われれば

そう聞こえなくもない

その晩、このことが気になり一緒に住んでいる祖母に

小豆あらいのことを聞いてみた


祖母は妖怪も確かにいるが

それよりもと違う話しをしだした

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