猫との暮らし

猫田猫丸

第1話猫にも個性があるんです

突然ですが俺の家には二匹の猫がいます。

今日は二匹の猫との暮らし、その一部をご紹介します。


「うにゃ~ん」

「ん?何だい、ガブさん」

「にゃ~ん」

「今忙しいから後でね」

「にぎゃあ~」


ガブさん(本名ガブ 7歳)は、干渉されるのが嫌なタイプの猫さんなので、普段は日向ぼっこや高所の寝床で寝ていることが多い。

しかし、例外が二つだけあり、その時はこうして俺を呼びに来て、しばらく鳴いています。

そして、鳴き声がしなくなっても、諦めたのではなく、その場でじっと俺を見ているのです。

その無言の圧力には勝てない俺。


「はいはい、わかりましたよ、で、どっち?」


俺が腰を上げると、ガブさんは背を向け歩き出す。

行く先は猫トイレか、俺のベッドのどちらかだ。

ガブさんが、軽快だけど以前より幾分大きな足音をたてて、階段を下る。

最近丸くなったし、重量も従来比で2割ましたので、中年太りかもしれない。

階段を下りて、向かう先は猫トイレ。

ガブさんは、トイレにブツが残っていることを嫌うので、出した後やブツを発見した時は、俺を呼びに来るのだ。

トイレを掃除する間、ガブさんは高台に陣取り俺が、手抜きをしないか監視する。


「ガブさん終わったよ」


俺は声をかけたが、監視任務についていたはずのガブさんの姿がない。

代わりに、カチャカチャカランという音が家の中で響く。


「あ、またやったな」


実はガブさん、我が家の迷惑防止条例違反の常習者なのだ。


俺は音のした風呂場へと向かう。

俺の接近を察知して、風呂場から逃げるガブさん。

我が家の風呂は、古いモルタル塗りで、床などはタイル仕上げになっており、その中央には排水口がある。

この排水口、Gの侵入防止のため、小さい穴がいくつも開いた蓋を、乗せてあるのけれど、ガブさんはこの蓋を外す、悪癖をもっているのだ。

見れば、想像した通り蓋は外されていた。


蓋を戻し、部屋へ向かう。

しかし猫トイレで呼ぶガブさんの声がしたので、再度猫トイレへ向かう。


「ガブさん、何であれ外すの」


怒る俺と入れ替わるように、ガブさんは逃げる。

ガブさんの爆弾を処理し、部屋へ戻ると、今度は寝室でガブさんの声がする。


寝室に行くと、ベッドの端に置かれた、エサ皿の前にガブさんが待機していた。

カチャカチャ

俺の到着を待ってドライフードを食べ始めるガブさん。

別に『まて』をしつけたわけではない。

ガブさんが、一人で餌を食べられない猫に、育ってしまっただけだ。


肉体的には全く問題ないですよ。

ガブさんは健康優良おばさんですから。


でもね、俺が近くに居ないと、ガブさんの食事を邪魔して、餌を奪う悪ガキが居るんです。

そいつも、7歳半で良い大人だけど、去勢の影響かいつまでも子供でね。

ガブさんが、食べていると、必ずやってくるんですよね。


その察知能力は『実は超能力者かスタンド使いか』ってくらいで、一階でガブさんに、ちゅ―〇をやろうと思って封を切った瞬間、ドンと高所から飛び降りた音が聞こえて、次いでダダダダダンと階段を駆け下りる音、そして『今何か食べようとしていたよね?当然僕の分あるよね?』といった顔で、奴が現れるんですよ。


そして、今まさに俺のベッド側まで、奴が来ましたよ。


ぐるるんぐるるんと、喉を鳴らしてアメリカンショートヘアが、ベッドへと飛び上がり、ガブさんの様子を伺います。

アメさん(ショップ生まれの血統書無し)がベッドに上がったことで、ガブさんの食事が止まります。

俺が、自分のミスを痛感しながら、いつものように仰向けでベッドに寝ころぶと、ガブさんが俺の腹の上に乗ります。

俺がガブさんの前、つまり俺の胸の上にエサ皿を置くと、ガブさんは食事を再開します。

猫にとって、最高の安全地帯が飼い主の腹の上というのは、世の飼い主方も悪い気はしないでしょう。ですが、飼い方としては、おそらく大間違いです。

アメさんは餌を食べるガブさんを、じっと眺めています。

俺はアメさんを撫で、彼の気をそらして、嫉妬の炎を散らします。

アメさんは飼い主大好きタイプの猫なので、隙あらば俺の膝に乗ってきます。

おかげで太ももは傷だらけですね。

アメさんは、時折俺の上を歩いて通過することがあても、腹や胸には乗りません。

アメさんにも、彼なりの拘りがあるようです。

ガブさんの食べ終わりを待って、エサ皿を戻すと、アメさんが少しつまみますが、ほとんど食べません。

彼は餌が欲しかったのではなく、他猫が食べている物が気になっただけなので、邪魔しただけで本猫は食べないという、迷惑なだけの行為をちょいちょいしますね。


こんな二匹ですが、時には猫団子になる程度には仲良しです。

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