心のぬくもり
勝利だギューちゃん
第1話
もうじき冬が来る。
冬になってやってくる。
サンタさんでも、お正月でもない。
強いてあげるなら、木枯らし一号。
いい方を変えれば、冬の精。
普通の精なら、歓迎なのだが・・・
そう普通ではない。
「よっ、元気してか?」
木の上から、女の子が手を振る。
「元気に見えるか?」
「相変わらず、しけた面しているな?」
「生まれつきだ」
女の子が、木の枝から下りてくる。
相変わらずの薄着だ。
「見ただろ?」
「何を?」
「私のスカートの中」
「スパッツだろ?」
こういうところは、恥じらいがある。
「で、今年は早いな、冬の精」
「いいかげん、名前で呼んでよ」
「めんどくさい」
「女の子にもてないよ」
「余計なお世話だ」
女の子は、僕の前で踊って見せる。
「ねえ、今年こそは考えてくれた?」
「何を?」
「クリスマスデート」
「何で、僕と」
女の子は笑う。
「君が、一番、私の事を理解してくれているから」
「なぜわかる?」
「女の勘」
「いくつだ?」
ゴン
頭を叩かれる。
「女性に歳を訊くな」
「精霊に、歳なんてあるのか?」
「エチケットだよ」
いつ知りあったのか、もう忘れた。
まあ、出会いとはそんなものだ。
「わかったよ。OKだ」
「ありがとう。待ってたよ。で、どこ連れてってくれる?」
「ちゃんこ鍋の店」
ゴン
「暑いのは嫌だ」
「わがまま言うな」
「とけちゃう」
溶けても、すぐに生きかるだろうが・・・
「で、どこへ連れて行ってくれるの?」
「我が家」
「嬉しい。ご両親に紹介してくれるのね」
とても喜んでいるが・・・
「もう顔なじみだろ?僕より可愛がれているし」
「妬かないの」
「妬いてない」
女の子は腕をからませてくる。
「おい・・・」
「恋人つなぎでなくてごめんね。私には温もりがないから」
「心の温もりは、伝わるよ」
「ありがとう」
心のぬくもり 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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