境壊孤毒

夢をんだ

少し苦い味がした

思い出を棄てた

少し熱いものが込み上げた


ゼロにしたくて始めた事だ

イチが分からず始めた事だ

だから全部が全部正しくて

何もかもが壊れてしまった


頭蓋骨にはニ.五キロの牢屋がある

僕は私はその中の一部

こんな小さなお花畑では

誰も天国なんて見つけられない

なのに地獄はどこにでもいる

ぐるぐるとかき混ぜられる

ぐつぐつと苦しめられる

誰もいない

ここには誰もいない

誰もいてくれない


夢は腐っていた

だから棄ててしまった

思い出は呪われていた

だから燃やしてしまった


零にしたくて始めた事だ

位置が分からず始めた事だ

だから全部が全部幕間劇で

何もかもが泡沫に溺れている


頭蓋骨には宇宙がある

僕は私はニューロンという銀河

こんな果てなき荒野では

永遠なんて意味を為さない

なのに刹那の連続が斬りつける

じわじわと血を吐き出す

じくじくと膿が軋み出す

誰もいらない

もう誰もいらない

誰もいらなくなれない


誰もいない

だから誰もいらない


ここには誰もいない

だからもう誰もいらない


誰もいてくれない

誰もいらなくなれない

誰も、誰も、誰も彼も、

死者ばかりを愛して笑う。

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