病操至滅
十二指腸に飼われた悪夢
ノックノック ノックノック
ああ止めて、脳が犯される
眼球の裏に巣食う羽虫
チックタック チックタック
ああ止めて、意識が汚される
私と君は瓜二つ
人間どれも同じ形
なのにその内側は光か影か
針の
蝕んだ、傷んだ、なけなしの良心が
壊れ切った、壊れ切った、壊れ切った
不愉快に不愉快に時に愉快に
君は踏切に似た恐怖を植え付けてくる
あと一歩だけ
あと一歩だけ
そう囁いて私を殴るの
あと一歩だけ
あと一歩だけ
そう言って私も笑うの
目にも見えないドラッグでは
幸せにも不幸せにもなり得ない
せめて刃を飲み込む勇気で
この寄生虫を殺してしまいたい
だからあと一歩、あと一歩だけ
下腹部を切り裂いて
脳液を蒸発させて
死にたくない死にたくない
けれどこの痛みを消し去って
消し去って
彫刻刀を胸にあてがい芸術を生む
蝕んだ、傷んだ、なけなしの感情が
擦り切れた、擦り切れた、擦り切れた
不愉快に、不愉快に、時により不愉快に
この肉体は私を傷つける
ノックノックノックノック
ノックノックノックノック
チックタックチックタック
チックタックチックタック
蝕まれた、傷物にされた、なけなしの心臓
壊してしまった、壊してしまった、壊してしまった
不愉快に、不愉快に、益々不愉快に
君は信号機に似た恐怖を植え付けてくる
喉の奥も胃壁も肺胞もシナプスも
事切れた、事切れた、事切れた
誰がくれたのだろう
良心を失う一分間の暴力で
私は宿したのだろうか
助けてなんて叫べない
この舌もきっと感染している
だから
あと一歩だけ
あと一歩だけ
そう囁いて君は笑うの
あと一歩だけ
あと一歩だけ
そう囁いて私は踏み出すの
ここは線路の上?
あるいは車道の真ん中?
それとも日常の中心点?
いずれかで私は紅い華を咲かせる
誰も彼もに病原菌をばら撒いてやる
不完全な肉体を膿に返せ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます