魔法少女❤マジカル✟メタモル☆かな☆

くろぺん

プロローグ

きーんこーんかーんこぉーん♪


 チャイムの鳴る、朝の学校。

 この日、六年一組の教室は、いつもとは少しばかり違う雰囲気に包まれていた。

「はい皆さん! 今日は転校生を紹介しますザマス!」

 教壇(というもの大抵小学校にないんですけど、ここは便宜上そう表現)に立つ、ババア…… ではなく初老の女教師は、ヒステリックで甲高い声に、少しばかりガラ声を混ぜた、要するに耳障りな声で高らかに宣言して、教室の児童達の関心を惹きます。

 

 ざわつく教室が、少し静まったところで、扉は中の様子をうかがうよう、ゆっくりと、そして半分ほどが開けられたところで一気に開け放たれます。


 次の瞬間、教室中の視線が彼女に釘付けとなりました。

 廊下から入ってくるのは、ふわりとしたスカートから生えた、細い足。

 人形のように透き通った白い肌の垣間見える、横顔。

 さらさらなのセミロングの少し茶色がかかった髪をなびかせ、少女らしい狭い肩幅に淡いピンクのカーディガンを羽織り、ひらめかせ、背筋をピンと伸ばした、教壇をステージをあるくモデルのように、すらっと歩いてくる。 

 ――誰もがあこがれるような美少女。


 教卓の前に立った彼女は、これから毎日を共にするであろう、あらたなるクラスメイト達に、スカートの裾をちょこっとつまんで、軽くお辞儀

 そしてババア…… 失礼。年輪を重ねた女性教師の指図に従い、黒板にチョークを走らせます。

 そして、書き終えた彼女はもう一度、さらりとした麗しの髪を見せつけるかのように、スケートリンクを踊る、フィギュアスケーターのようにくるり半回転して、満面の笑みで、瞳を輝かせ、涼やかな声で言った。

「黒墨リリア、十二歳! 魔法少女です(ハート)」

 教室中が、拍手喝采!

 が、次の瞬間、彼女の顔が、瞳が、地獄の色に染まります。

「――ただし、黒魔術専門(ダークウィッチ)だけどな!」

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