僕が好きになった相手は

第1話

　俺の名前は暮山翔太。

　年齢は26歳。職業、サラリーマン。

　ありがたいことにこの年齢には珍しく、係長やらしてもらってる。趣味はゲーム。

　会社では真面目に働き、家に帰ればゲームをする。そんな日々を送っている。

　周りの人間は俺の事を社交的な人間だと思っている。

　上司同期後輩には常に頼られ、その期待に応える。

　困っている奴がいれば、常にフォローに回り感謝される。

　常に他人とコミニケーションを図ることで円滑に事を進めるその姿は、社交的以外言いようが無いのだろう。

　しかし、それは出世するための表向きの姿に過ぎない。

　同僚の期待に応えるのも困ってる奴のフォローに回るのも常に他人とコミニケーションを図るのも、出世するためもしくは出世後のための人徳稼ぎに過ぎないのだ。

　本当の俺は常に自信がなく。

　プレゼンの前は手が震えるような、根暗でチキンな陰キャ野郎なのだ。

　そんな姿、同僚は知らない。

　俺の本性を知ってるのはただ1人。

　その人とはオンラインゲームで知り合った。

　アカウント名はルイカル。

　リアルの素性は全く知らないがゲーム内のアバターは筋肉隆々とした男性だ。

　しかし、そんな見た目とは裏腹に、人に寄り添うことのできる人間。

　俺はルイカルに心を許していた。

　今日も今日とて仕事を終え帰宅すると、スマホでそのソシャゲを開始する。

「ルイカルさんもう来てるじゃん」