砂糖菓子の人魚

白山ユウ

第1話 プロローグ

 白磁のティーセットでマロウブルーのハーブティーを淹れる。南の海のような水色のお茶に、ちいさな角砂糖をふたつ。

彼女の綺麗な指が銀色のスプーンを取り上げ、繊細な動きで砂糖を溶かしてゆく。角砂糖についたアイシングの花びらがくるくると舞い、焼きたてのレモンメレンゲパイが湯気を立て、辺りは美味しそうな香りに包まれる。

このひと時が永遠に続いてくれたらいいのにと、茉紘まひろは願わずにはいられなかった。

どうか、この平穏で幸せな時間を彼女と共にずっと。

「ねぇ、茉紘。ひとつお願いがあるのだけれど、」

なあにと訊ねながら、茉紘は紫亜しあの美しい睫毛に縁取られた瞳に見惚れた。

「私と、ずっとずっと一緒にいてね。」

はにかみながら笑顔を向ける紫亜に、茉紘は更に笑み、もちろんと応えた。

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